再審で無罪が確定した袴田巖さんの弁護団は10月9日、国と静岡県に6億円を超える損害賠償を求める訴えを起こしました。
再審無罪をめぐる国家賠償訴訟では過去最高額になるということです。

<野田栞里 記者>
「袴田さんの弁護団が姿をみせました。提訴のために静岡地裁に入ります」

袴田巖さんは1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で一度死刑が確定しましたが、再審=やり直しの裁判で2024年9月、無罪判決が言い渡されました。

弁護団が問うのは事件当時違法な捜査や取り調べをした捜査機関や裁判所の責任です。

<小川秀世 弁護士>
「無罪判決はどうしてこの事件が起きて何が起きてこれからどうしていくのかが明らかになっていないじゃないですか。教訓として引きだすのは「ねつ造してはいけない」なんですか?何が問題で、どうしてそういうことが起きたのか、何も明らかにしていないじゃないですか。だからそういうことを、この訴訟の中で はっきりと訴えなきゃいけないと思っています 。 」

訴状によりますと、袴田さんが本来働いて得る収入などの損失額は1億3000万円余り。長期間の拘束と死刑執行への恐怖にさらされた精神的苦痛に対する慰謝料は約4億7000万円と算出。

検察と裁判所を管轄する国と、県警を管轄する静岡県に対し計約6億840万円を求めています。

袴田さんの姉、ひで子さんは今回の裁判を次のように位置付けます。

<袴田ひで子さん>
「再審で勝った人もいるし、これから勝たなければいけない人もいる。そう言う人たちのためにも、道筋をつけておかないといかんと思っているんです私は」

弁護団によりますと、再審無罪の事件をめぐり国に賠償を求める裁判では過去最高額になるということです。

提訴を受け、県警の監察課は「訴状の内容を検討した上で適切に対応していきたいと考えております」とコメントしています。