10月5日、静岡県の沼津港で計15人がけがをした遊覧船の事故で、船長が「クラッチ部分に違和感を感じた」などと話していることが分かりました。国交省の調査担当者は、この違和感が事故につながった可能性があるとみて調べを進めています。
<東部総局 竹川知佳記者>
「午前9時半すぎです。いま海上保安部が事故の調査のため、船に乗り込みます」
沼津港に停泊する遊覧船。10月5日、この船でクルーズを楽しんできた人たちが大きな事故に遭いました。
<事故の目撃者>
「待っている従業員が『おーい』って言っていたから、ふっと見たら、そのまま減速しないで、正面からガーンって」
5日午後3時半頃、遊覧船「ちどり」が沼津港の岸壁に衝突。乗員乗客計40人のうち15人が階段から落ちるなどしてけがをし、乗客の男性1人は頭蓋骨を骨折しました。
事故当日の「ちどり」の航路は水門「びゅうお」をくぐって駿河湾を周遊し、沼津港に戻る約30分間の船旅。事故は港に戻ってから起きました。

調査に入った国交省の職員に対し、船長は「船の異常」について話したということです。
<国交省 静岡運輸支局 伊藤英架首席運輸企画専門官>
「レバー、クラッチの関係で、ちょっと異常があったということで、船長・機関長に当時の状況を確認した」
船長は、事故当日の午前中の便でクラッチに違和感を感じていたといいます。その後、整備をして直ったため、運航を再開したということです。国交省の担当者は、この違和感が事故につながった可能性があるとみて調べを進めています。
海難事故に詳しい専門家は、少なくとも事故の直前までは操船に問題はなかったのではないかと話します。
<神戸大学大学院 海事科学研究科 若林伸和教授>
「幅の狭い所(びゅうお)を通るのはそれなりに緊張するというか、減速もするので、そこをちゃんと通って、入って左に曲がっているので、その辺りまでは操船は普通にしていたのでは」
千鳥観光汽船の部長は、6日、事故について謝罪しました。
<千鳥観光汽船 松田一宏部長>
「誠に申し訳ありませんでした。原因の究明に向けて、各当局の皆さまと連携しながら調査を進めています」
7日は国交省の運輸安全委員会が調査に入るということです。