国内最大級の竜巻で静岡県牧之原市などに被害が出てからまもなく1か月です。現在も住宅の被害認定調査が進められていますが、判定の結果により、十分な支援金が得られないケースも出ています。

<社会部 荻野旦記者>
静岡県牧之原市細江の中でも被害が大きい、時ケ谷地区に来ています。こちらの道路は発災当時、電線が道路に垂れ下がり、また電信柱が住宅の上に倒れこむ箇所もありました。

電信柱の補修工事は完了したものの、多くの家にブルーシートがかかっています。そして避難先での生活を送っているのか、電気がついている家が少ない印象を受けます。現在、被災者の多くを悩ませているのが、住宅の問題です。

2025年9月5日、静岡県牧之原市から静岡県吉田町にかけて発生した竜巻。牧之原市では1100棟以上の住宅に被害が出ました。

<被災した人>
「ここの屋根が半分飛ばされて、雨が入ってきた。(判定結果は)全壊だと思ったが全壊にならないもんで」

被災者への支援金は住宅が全壊と判定された場合最大300万円、損害割合が30%台の中規模半壊の場合は最大100万円です。「被害認定調査」は、屋根、外壁、内壁など各部位に最大15点が割り振られ、合わせて50点以上で全壊になります。

仮に屋根など一部分に大きな被害が出ていたとしても、その他の場所の被害程度によっては全壊の判定が出ないケースもあります。市は希望者から再調査を受け付けています。

<再調査を受ける住民>
「屋根と外壁ですね。外壁は建築業者から『全部はりかえ』と言われていて、中のクロスもはりかえで、屋根も全部瓦交換なので、1000万円くらいの作業になる」

こちらの住宅は1回目の調査のあと「準半壊」と判定されました。住民の男性によりますと支給される支援金は約30万円。男性は市に再調査を依頼しました。

<再調査を受ける住民>
「20点以上で半壊だったので、家を調べてもらったら19点だった。あと1点なのでなんとかしてほしいなと思って。切ないですよね。あと1点あれば、もらえる補助が変わるので、倍くらい」

男性によると判定が「半壊」になることで75万円ほどが支給される可能性があるということです。

国内最大級の竜巻。被害認定の調査に対応する市の職員も毎日が「手探り」だと話します。

<牧之原市税務課 鈴木宏洋主任>
「全国的にも前例が少ないので、私たちも手探りでやっている状況。内閣府の方に助言をいただいて、なるべく被災された方の気持ちに寄り添った判定が出るように調査を進めていきたい」

静岡県牧之原市細江にある、こちらの居酒屋兼住宅も大きな被害を受けました。
被災された平賀正廣さんです。

<平賀正廣さん>
Q. 発災からまもなく1か月ですが、どういった状況でしょうか?
「屋根をボランティアの方につけてもらいましたが、発災当時は天井と屋根が飛んじゃって窓ガラスも割れてなくなりました」

Q. 被害認定調査の結果はどうだったんでしょうか?
「大規模半壊という形でうちの方は出まして、それなりの補償が受けられるということですので、よかったと思っています」

Q. 発災当初、竜巻で屋根がなくなったということでしたが、この1か月どういった生活をしていたんでしょうか
「発災当初は屋根もなかったもので、車の中で寝泊まりしていましたが、すぐに屋根を付けていただいたので、今は中で寝ています」

Q. このご自宅は今後どのようにされるかご予定はあるんでしょうか?
「土地が借地なものですから、建物は全部壊して更地にしてお返ししようと思っています」

Q. 電気は今は通していないんでしょうか?
「はい、解体するということで、また電気工事をやってお金をかけてもしょうがないので、バッテリーを借りてやっています」

Q. 平賀さんにとってこの1か月はどのような1か月でしたか?
「追われっぱなしでもう1か月たつのかと。あっという間ですね」

Q. 一番不安なことはなんですか?
「これから寒くなるのと、行政の方からお金が出るのがいつになるのかわからないので、なるべく早くお金を出していただいて、次のところに行ければいいなと」

Q. まだ補助金がでないと解体が進められないということですか?
「そうですね」

被災地は復旧に進む一方、被災者は多くの課題に直面しています。