福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。

今回は、福島市の中心市街地で45年親しまれる洋食店です。おいしさの秘密は…“リズム感”です。

往年のブルースが響き渡る中いただけるのは、選び抜いた和牛の上カルビをじっくりと煮込み、寝かせ、完成まで2日かける「ビーフシチュー」。お店の人気メニューの一つです。

お肉はフォークを入れただけで、ほろほろっとほぐれるほどの軟らかさ。また、デミグラスソースは濃厚ながらも少し酸味があり、後味はさっぱりとしています。

こちらは福島市置賜町に店を構えて45年。地元の方を中心に県外からもお客が訪れるという「ビストロ・ミカサ」

モダンな雰囲気の中、ランチや夜にはお酒も楽しめる洋食店です。

マスターの細谷光孝さん、72歳。脱サラし、東京のフレンチの有名店で修行し、昭和55年に福島市でお店をオープンしました。

--細谷マスター「完全フレンチ、フレンチスタイル。フルコースも。」

オープン当初は、一皿ずつ提供する本格フレンチのお店でしたが、もっと気軽に料理を味わって欲しいと方向転換。こだわりのメニューでお客さんの舌を楽しませてきました。

--お客さん「こちらに来て5~6年になるんですけど、週に2~3回ペースで来ているとは思います。こちらのオムライスおいしいので、時折、オムライスを頼みます。」

デミグラスソースを使ったオムライス。しっかり味付けしたケチャップライスに、ふわとろの半熟卵。そこにデミグラスソースが加わり、コクをプラス。人気もうなずけるひと品ですが、ミカサの1番人気メニューは・・・?

--細谷マスター「ポークソテー。」

こちらがお店一番人気「ポークソテー」。おいしさの秘密はどんなところに?

--細谷マスター「味つけ、焼き方。丁寧に焼かないとね、そのへんのあんばいは自分の感覚。肉は感覚。」

脂身が甘くおいしい、前田スペシャルポークを使用していますが、味付けは塩・コショーというとってもシンプルなもの。「ポークソテー」を注文したお客さんは・・・

--お客さん「出張でこっちに来るときに食べログを見て、2025年の「洋食EAST百名店」に選ばれているということで、気になって伺いました。おいしかったです、間違いないなと。」

シンプルながらも素材の味を生かす調理。そこには細谷マスターが料理と共に長年愛するある理由があったんです。

--細谷マスター「音楽が好き。12歳から音楽はやってる。」

料理の道に入る前から好きで、現在もライブ活動を続けている「音楽」。店内に流れるブルースもマスターのお好みの音楽が流れているんです。さらに店内にはのめりこんでから集めだしたという、歴史を感じるレコードもずらりと並び、レトロな雰囲気もその隠し味になっています。

--細谷マスター「料理もリズム感が必要、ノリとセンスだもんね、料理は。音楽と共通しているね。」

そのリズム感で調理する「ポークソテー」は短時間で表面をカリッと焼き、うま味を中に閉じ込めているからこそのおいしさ。肉のうま味がかみしめるたびにあふれ出します。

--細谷マスター「若くはないから、体が続く限りは、(お店を)やるけど、(大事なのは)音楽じゃないかな?」

マスターは今日も大好きなブルースのリズムにノリながら、ポークソテーをおいしく焼き上げています。

店舗情報】
洋食厨房 ビストロ・ミカサ(福島市置賜町)
営業時間:ランチ 午前11時~午後1時30分
     ディナー 午後5時30分~午後9時
定休日:日曜日

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年10月2日放送回より)