秋の港に珍客です。静岡市の由比漁港で9月25日、アカウミガメを住民が発見しました。産卵のシーズンではないこの時期に姿を現すのは珍しく、これから寒くなるため心配されています。
9月25日、静岡市清水区の由比漁港に姿を現したのは、絶滅危惧種のアカウミガメです。体長は約1メートルほど。
釣りをしに漁港に来ていた住民が岸の近くをゆっくりと泳ぐカメを発見しました。カメを見つけた女性はとても驚いたといいます。
<ウミガメを発見した女性>
「びっくりしました。こんなところにまさか。なんでこんなところにカメがいるのと思いました」
5月から8月にかけて産卵のために暖かい海から日本にやってくるアカウミガメ。由比漁港にいること自体は珍しくありませんが、注目すべきは見つかった時期です。アカウミガメは20℃以下の海水温では生きていくことが難しいと言われ、本来寒くなり始める頃には日本の海を離れて暖かい海に移動するため、静岡の漁港で9月下旬に見つかるのは珍しい事態です。
ウミガメの保護活動を40年以上にわたり続けている馬塚さんです。
<サンクチュアリ 馬塚丈司理事長>
「野生のカメ、卵を産みにやってきたカメ、それが何らかの形で被害に遭って、由比漁港に迷い込んでしまった」
9月下旬にウミガメが静岡で発見された状況に強い危機感を示します。
<馬塚理事長>
「(水温が)20℃以下になるとカメは動きませんので、死んでしまう。黒潮とか暖かい海流があるうちに外洋にでて、南の国に行く。暖かいときだったら、一番元気があるから良いが、涼しくなってくるので心配」
カメの状態を見て、気になる点もあるといいます。
<馬塚理事長>
「人間でいえば右後ろの足の辺りから体にかけて太い『てぐす』(糸)がついている。いまは糸が甲羅のところにあるが、これが足や他に絡まったら足が切れてしまう可能性がある。糸は強いから簡単には切れず、カメの体が先に切れてしまう心配がある」
静岡市の担当者は、救出が必要なウミガメを見つけたら触れずに市に連絡してほしいとしています。
<静岡市環境共生課 中村洋之課長補佐>
「弱っているといった情報がありましたら、市に連絡をいただければ専門家と協議して対応していく」
秋の港に現れたアカウミガメ。暖かい海に戻ることができるのか、住民たちも心配しています。