わたしたちの生活に欠かせない公共交通機関ですが、地方では利用者の減少などから厳しい経営状況に直面しているが鉄道会社も少なくありません。わたしたちの足をどう未来に遺していくか、知恵を絞るサミットが静岡県富士市で行われました。
日も傾いた夕方4時、高校の最寄駅で電車を待つのは、富士市立高校に通う双子の笠間明日花さんと風花さんです。隣まち・沼津市から、富士市の高校へ通学する2人にとって欠かせないのが、富士市内を走る「岳南電車」です。
<笠間風花さん、明日花さん>
「通学の時に使っている」
Q.岳南電車がないとどうか?
「本当に大変だと思う」
「移動ができなくなってしまう」
路線距離は全長9.2kmと短い岳南電車ですが、沿線には高校が数校あり、大切な通学の足となっています。
<笠間風花さん、明日花さん>
Q.岳南電車の魅力は?
「昔、そのままという感じがしてよい」
「椅子もよい感じ」
また、車を持たないお年寄りなどにとっては、買い物などに欠かせない存在です。しかし、経営状況は厳しく、富士市から毎年6200万円の補助金を受け、赤字を補填している状態です。地域の人たちの生活を支える公共交通機関ですが、利用者の減少などから地方では厳しい状況に直面している鉄道会社が少なくありません。
<銚子電気鉄道 竹本勝紀社長>
「売り上げの大半を占めるのが、こちらのぬれ煎餅。逆説的ではあるが、鉄道を存続させるために、鉄道以外のことに注力しなければ、鉄道会社、ローカル線の存続は難しい」
こうした中、先月、富士市に静岡県内外の鉄道会社が集まり、地方鉄道の未来について考えようというサミットが行われました。各社の取り組み事例、いわば「成功体験」が紹介され、商品販売などに活路を見出す千葉県の銚子電鉄は、鉄道以外の収入をどう増やすかが重要だと訴えました。
<岳南電車 橘田昭社長>
「こちらにある通り、今後も夜のエンタメ電車として、進化し続ける」
岳南電車は車内の灯りを消して工場夜景を楽しみながら走る「夜景列車」が好評で、今後も変化を加えながら継続していくといいます。サミットでは、こうした成功事例が共有されたほか、パネルディスカッションで意見を交わし合いました。
<富士山麓電気鉄道 上原厚社長>
「地方の鉄道会社は、非常に小回りの利く会社が多いので」
<水間鉄道 藤本昌信社長>
「大手鉄道の経営もやった立場から言うと、本当に自由」
各社から上がったのは、規模の小さい鉄道だからこそ、新たな挑戦にスピーディーに挑むことができるのではないかという声でした。サミットでは、地方鉄道を未来に遺していくためには、各社の連携が欠かせないと、確認した共同宣言も発表されました。
<岳南電車 橘田昭社長>
「一つ、地方鉄道を利用する人々の暮らしの足としての役割を確実に果たしていきます。一つ、地方鉄道各社が互いに協力を惜しまず、一丸となって困難に立ち向かっていきます」
生活の足としての使命を果たし続けるために、地方鉄道の挑戦は続きます。
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