国際的なリゾート地、北海道ニセコ町の新たな舵取りを10月から担うのは、北海道内で最年少となる34歳の町長です。
にわかに騒がしくなってきた水源地問題について今後の対応を聞きました。
26日のニセコ町。
10月9日、町のトップに就任する田中健人さん、34歳です。
ニセコ町長選で勝利した田中健人さん
「ニセコの町政を預かる立場になりますので、しっかりとその貴重な水資源というものについては、全力を挙げて守っていきたい」
3年前、取材に応じる田中・新町長です。
ニセコ町で始まった環境配慮型の住宅エリア=「ニセコミライ」の開発に携わり、熱い思いを語っていました。
田中健人 取締役(当時)
「ただ単純にたくさん人が来る観光だけではなくて、実際に町を支えている、暮らしている住民の皆さんがどうかに着目してほしい」
9月14日のニセコ町長選で初当選。
就任を待つばかりですが、道内最年少の首長には今、重い課題が待ち受けています。
羊蹄山のふもとに広がる広大な山林。
この土地の所有権をめぐり、ニセコ町と過去の所有者の間で裁判になっているのです。
髙橋智也 記者
「ここが水源地の周辺で、見渡す限り山林しかありませんが、町民にとって貴重な場所になります」
この土地は「集水地」と呼ばれる水を汲み上げるポイントの隣接地で、汚い水を流したり、新たに井戸を掘ったりさせないため、町は、2013年にこの土地を購入しました。
しかし、2023年3月、4代前の土地所有者であるA社が町を提訴します。
第三者が無断で売買したとして、土地の所有権の返還を主張。
A社の主張
「第三者が無断で不正に登記を移転した。売買代金も受け取ってない。」
一審の札幌地裁岩内支部は、この主張を認めました。
そこで、町が控訴し、現在、裁判は札幌高裁で続いています。
そんな中、原告のA社は5億円で土地の買い取りを求める和解案を提案。
これに対し、町は寛大な判断を求めて札幌高裁に22万筆の署名も提出しました。
ニセコ町 片山健也町長
「住民の命と暮らしを守るという前提で集水区域を決めている。ぜひ裁判所にもわかっていただき判断してほしい」
ニセコ町民
「あんな場所を町外の人に買われて、水源がだめになったらニセコ自体が困る」
「法務省はどういうことになっているのか、それが不思議だった。登記できているんだものどうして登記できるのか」
裁判を、どのように決着させるのか。
ニセコ町長選で当選した田中健人さん
「5億円はニセコ町の財政規模を考えても決して低い金額ではない。すごく高い金額なので、そこについては別の選択肢も含めて、取れないというところをまず模索する必要かと思う」
簡単には水に流せない、羊蹄山の水源地問題。
田中町長は、就任早々難題に向き合うことになります。