JR東日本とJR東海、JR西日本、JR九州の4社は9月19日、東京都内で揃って記者会見を行い、各社が運営する鉄道のネット予約サービスを連携し、利便性向上に取り組むことに合意したと発表しました。サービスの垣根を越えて、スムーズに利用できるサービスを検討するということです。

これまで4社は「えきねっと」「EXサービス」「e5489」「JR九州インターネット列車予約サービス」という個別のシステムを構築し、路線の特徴に応じたサービスを提供してきました。しかし、チケットレス化が進む中、利用者にとっては複数のサービスを使い分ける手間がかかっていました。
例えば、宮城県の仙台駅から愛知県の名古屋駅に向かう場合、まずは「えきねっと」にログインして東北新幹線の仙台駅から東京駅までを予約、その後「EXサービス」にログインして東海道新幹線の東京駅から名古屋駅までを予約するなど、複数のサービスをまたいで予約する場合に、ログイン認証の手間がその都度必要でした。
今回の合意では、JRのネット予約サービス間の連携に初めて取り組むことになり、具体的には「サービス間のシームレスな遷移」や「他のサービスの予約情報を表示する」といった新たなサービスをイメージしているということです。
サービスの開始時期は「EXサービス」と「e5489」との間は、2026年度中を予定し、その他については、2027年度以降、準備が整ったサービス間から順次開始するということです。また、これに先行して、2025年10月4日からは「EXサービス」と「e5489」との間で相互にログイン認証ができるサービスを開始します。
連携には、それぞれのサービスへの会員登録が必要で、事前に利用者本人が同意した上でサービスを連携させる操作が必要になります。
こうしたサービスが本格的に始まれば、他のサービスに移る時のログイン認証が不要となる見込みです。例えば、静岡駅から東海道新幹線を利用し、名古屋駅を経由して、高山本線の特急「ひだ」を利用し、高山駅まで行く場合、1度のログインで「EXサービス」と「e5489」の両方のサービスが利用できる上、新幹線の到着時刻を確認しながら、乗り継ぐ特急列車の予約ができるなど、利便性が大幅に向上することが期待されます。
【各社のコメント】
JR東日本 執行役員 マーケティング本部 Suica・決済システム部門長 牧野達朗氏
「えきねっとサービスは、JR全線の切符を販売できるのが強みでしたが、弊社以外の切符は基本的に紙でしか発売できませんし、お得な切符の販売はできない状況で、本当の意味でご利用になられるお客様のニーズに応えるものではなく課題感をもっていた。より便利にJR線各社をまたいだ旅行をしやすくなることは間違いなく、1日も早く実現を目指していく」
JR東海 営業本部 システム戦略担当部長 佐藤貴志氏
「すでにJR西日本、JR九州とは弊社のシステム基盤の東海道・山陽・九州新幹線のネット予約チケットレスサービス、EXサービスを共同で運用している。本日お示ししたサービスを実現できると、4つのサービスの垣根を乗り越えて自然に使い分けて、各社が磨いてきた最良のサービスを使っていただけるようになる」
JR西日本 マーケティング本部 鉄道マーケティング部担当部長 大野大輔氏
「会社やエリアの垣根を越えてつなげることで、より便利で快適な鉄道をご利用いただきたいという思いから、4社で方向性を1つにしたものと考えている。JR北海道やJR四国のエリアも含めた日本全国をより便利にご利用いただくことで鉄道の使命である、更なる地域間の交流の拡大をさらに進めていきたい」
JR九州 鉄道事業本部 営業部担当部長 松本宏樹氏
「数年前までは切符を購入する手段は駅窓口が主流でしたが、現在ではインターネットを通じて列車を予約いただくことが主流となっていて、当社管内でも多くのお客様にご利用いただいている。ログインし直す煩わしさに関しては、少なからずご意見をいただいていた。交流人口の拡大や地域の活性化につながっていくと確信している」