EV(電気自動車)の上半期の国内販売台数は前年の3倍となり、EVが普及の兆しを見せている。そのけん引役となっているのが「軽EV」、軽自動車の電気自動車で、生産が追いつかないほどの人気ぶりだという。

■操縦性能は1000万円級。スマホを充電するような感覚で普段使い

今年6月に三菱自動車が発売した軽EV「eKクロスEV」は、1回の充電で180キロまで走ることが可能で、普通の充電ならフル充電まで8時間、急速充電なら80%の充電までわずか40分だ。価格は239万8000円から。世界に先駆けて量産化した小型EV「アイミーブ」から13年、三菱自動車にとって2台目の軽EVとなる。車体は日産自動車との共同開発で、兄弟車といえる日産「サクラ」も岡山県倉敷市の工場で生産されている。

三菱自動車工業 水島製作所 高橋辰成車体工作部長:
計画を上回る約7000台の受注をいただいています。生産の方は一部で半導体供給の課題などがあり、1か月から4か月お待ちいただいています。

当初の受注目標を2000台以上上回る人気で、納車待ちの状況だという。日産「サクラ」も10月までに1万4000台を売り上げるなど好調で、現在は受注を停止するほど軽EV人気が加熱している。

今年の国内のEV新車販売台数の推移を見ると、「eKクロスEV」と「サクラ」が発売された6月から数字は大きく伸び、2022年度上半期の新車販売台数は前年の3倍と大きく増えた。日本のEV市場は今、軽EVがけん引役となっている。軽EVの人気について自動車評論家の桃田健司さんは「車の本来の魅力に加え、街乗りなど普段使いする層のニーズにマッチした結果だ」と言う。

自動車評論家 桃田健司氏:
ハンドリングもいいですし、1000万円級の車と比較しても全く見劣りがないぐらいのバランスの良い的確な操縦性能があると思っています。地方だとしても普通の人は1日30キロ、40キロぐらいしか移動しないと言われているので、スマートフォンを毎日充電するような感覚で充電していくということだと思います。

軽EVの狙いについて、2021年11月に「Bizスクエア」に出演した三菱自動車の加藤隆雄社長兼CEOは次のように話していた。

三菱自動車工業 加藤隆雄社長兼CEO:
我々は軽自動車とEVの親和性は非常に高いと思っています。軽は街乗りで普段の買い物で使うことが比較的多いので、あまり走行距離が長くなりません。軽自動車というのは重量が軽いですから、バッテリーが小さくなるイコール価格を下げることができます。