2025年2月に「贋作」と判断された高知県立美術館所蔵の絵画「少女と白鳥」の展覧会が13日から開かれます。

県立美術館が1996年に1800万円で購入しドイツの表現主義画家ハインリヒ・カンペンドンクの作品とされていた『少女と白鳥』。

2024年6月に贋作である可能性が浮上し、調査の結果、2025年2月に世界的な贋作作家ヴォルフガング・ベルトラッキ氏による贋作である事が判明しました。

美術館ではこの作品をきっかけに「贋作」について考える特別展示が13日から開かれます。12日はメディア向けの内覧会が行われ、「少女と白鳥」を「贋作」と鑑定したメンバーの1人で特別展示の監修者でもある京都大学の田口かおり准教授も来館しました。田口准教授は贋作と判断した根拠について、作品から採取した顔料の調査で、ハインリヒが活動していた1910年代には一般的に流通していなかった顔料が用いられていることが判断基準の1つになったと話しました。また展覧会では贋作である「少女と白鳥」と同時代画家の真作を比較できるほか、「贋作」の歴史や有識者の「贋作」への考えなどを知ることができます。

(京都大学 田口かおり准教授)
「作品の真贋をめぐる調査の裏側・バックヤードは、なかなか多くの人にとって目にすることが珍しい機会になっているのでは。いらしてくださる方が、『少女と白鳥』をめぐるプロセス・調査を明らかにする過程の当事者のような気持ちで、見て・考えて『贋作』とは何かということに思いをめぐらせる時間を展示室で持っていただけたらうれしい」

展覧会は13日から10月19日までで、期間中は学芸員によるギャラリートークやシンポジウムも行われる予定です。