台風15号の影響から静岡県内各地で竜巻などが発生して9月12日で1週間です。被害の大きかった静岡県牧之原市をはじめとした多くの地域で、いまだに多くの人が日常を取り戻せずにいます。
<杉本真子 キャスター>
「牧之原市細江です。台風15号による竜巻の発生からきょうで1週間が経過しましたが、生活再建に向けた工事や、電気線の確認など今日も復旧作業が続いています」
9月5日、静岡県牧之原市から吉田町にかけて猛威を振るった竜巻。牧之原市では住宅1100棟以上に被害が出たほか、吉田町では車が横転し、50代の男性が死亡しました。
発災から1週間。12日、電気がようやく通った住宅もありました。
<住民>
Q.1週間ぶりの電気?
「そうですね」
Q.電気のない生活は?
「厳しいね。やっぱ電気ないと困る。うわー、助かった」
市によりますと、11日の時点で約170戸が電気が使えない状態だということです。敷地内の配線が被害を受けるなどしたためで、こちらの家では住民が額に冷却シートを貼りながら生活していました。
<住民>
「子どもも体調を崩して、熱が出ているので、早めになおしてもらいたいと思いながら生活している」
Q. この1週間は?
「世間的には短いかもしれないですけど、僕たち家族からしたら長く感じています」
電気が使えないことで移動手段に困っている人も。
<住民>
Q. コミュニティーセンターには何をしに来られたんですか?
「充電をしに」
Q. 何を充電をしに来られたんですか?
「シニアカー」
Q. 普段の生活の足ということですよね?
「車を運転できないから」
現在、市内では避難所に6世帯17人が身を寄せているということです。一方、被災した親子への支援の輪も広がっています。
9月12日、牧之原市内で親子のためのフリースペースが開かれました。地元で活動する助産師などが、被災した親子が少しでもリフレッシュできるよう企画し、生後1か月の赤ちゃんを連れた親子も訪れました。
<母親>
Q. 停電の時、冷房は?
「効かなかったので、窓開けて、うちわ使って」
停電や断水などの被害は母子の心身にも大きな影響があります。
<母親>
「400グラムも増えている」
「(体重の)増え具合が心配でした。母乳だったので、測れないし、こっちが精神的にあれだと出なくなってしまうと聞いていたので」
会場では、親子が安心して楽しく過ごせるよう英語教室の先生による歌や手遊びが行われ、栄養士手作りのおにぎりなど軽食も用意されました。
<母親>
「同じ環境で過ごしたママたちと大変だったねって話をできて、みんな同じ気持ちだったんだと共感ができて良かったですね」
<助産師 深澤知美さん>
「何かを与えるだけが支援じゃないんだなって。こういう場所を提供することも、ママのリラックスや癒やしにつながっているんだと思った」
伝統産業も一歩ずつ再起へ向かっています。
<浜松総局 伊豆川洋輔 記者>
「竜巻から1週間、工場の屋根部分はその爪痕が残っていますが、停止していた工場からは希望の音が響きはじめました」
伝統の遠州織物を手掛ける榛地織物の工場では竜巻で屋根が飛ばされ、13機ある織機のうち10機ほどが雨と土をかぶる被害を受けました。仲間たちの支援も受け、9月11日から12日にかけ、約半数の織機が点検を終えて動き出しました。
<榛地織物 榛地研一さん>
「落ち着きますね。生まれながらに聞いているし」
しかし、まだ電気を通せていない織機が複数あり、部品が錆びて生地がうまく織れない箇所もありました。完全復旧までは険しい道のりですが、被災後、榛地織物では、ふるさと納税を通じた注文が相次いでいるといいます。
<榛地さん>
「(きょう出荷する)作務衣の商品なんですけど、ふるさと納税で注文をいただきまして、いま出荷の準備をして送りを待っているところなんですけど。(なかには)普通に買ってくれる客の名前もあった。あえて市にお金が落ちるように。行政も助かるし僕も助かるし、本当にありがたいと思う」
災害の発生から1週間。住民たちは過酷な環境の中で一歩ずつ前に進んでいます。