イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が26日から2日間、東京の都立新宿高校の硬式野球部を訪れ、選手たちに直接指導を行った。高校生を指導するのは、2020年の智弁和歌山高校、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商に続いて5校目となった。
今回イチロー氏は、限られた時間の中で様々なことに取り組む高校生たちと一緒に野球をやってみたいと、自らの意思で訪問を決めたという。
同校は難関国立大や難関私立大に多くの合格者を輩出しながら部活動参加率9割を超える創立100周年の進学校。野球部は2年生部員7名(マネージャー1名)と1年生部員9人(マネージャー1名)の17人。学業にも力を入れながら好きな野球を続けているだけでなく、小学生を対象とした野球の普及活動にも熱心に取り組んでいる。
この日も高校球児たちに向け熱心に言葉をかけたイチロー氏。打撃のポイントについて聞かれると「投げるときも下半身を使わずに手だけで投げるってことはないでしょ。下半身を必ず使っている。バッティングも同じ」と実際にフォームを見せて指導した。
さらに生徒の動きを見て「もっと手を出さない練習をしないとね、こうやって下から力を伝える」とボールに力が入るコツを伝授。「いい選手の動きを観察してどうしてそういう打球なのか。だいたいそれは下半身にヒントがあるケースが多い」と下半身の大切さを伝えた。
「大丈夫、まだ始めたばかりだから。ここからだから」とやさしく肩を叩き、続くノック練習では自らノッカーを務めた。「10本取ったら終わりで、8本目からは“ポロっ”とやったら7に戻ります。10本目で“ポロっ”とやったらこれも7に戻ります。よしいこっ」と“鬼ノック”が始まると、緊張ぎみの生徒に「“お願いします”はもういらない、さあこいって。腹から(声)だして」と自らも大きな声を出して全力でノック。その後も守備や走塁などさまざまな練習を通して球児たちと濃密な時間を過ごした。
「あっという間だったけど終わりだね」と別れを惜しむイチロー氏は「お疲れ様でした。みんなちゃんとやってよ。報告が入るシステムになってるからね。やらなきゃいけないこといっぱいあると思うけど、それぞれ一気にやらず課題を持ってひとつひとつクリアしていってください。ボールが怖くない感じを覚えてね。これだけ昨日と今日だけで変わることができたので、期待してます。あと勉強も頑張ってね」と球児たちにアドバイスを送った。
指導を受けた生徒は「夢みたいな時間でずっとドキドキでした。自分たちも小学生に教えたりすることがあるので、(イチローさんの)教え方も含めてこれからの(野球の)普及活動にも参考にしていけたら」と目を輝かせながらイチロー氏との時間を振り返った。
イチロー氏は11月3日に東京ドームで高校野球女子選抜チームと対戦。投手としては9回完投勝利を挙げ、試合後は今後の女子野球界を担う生徒たちを激励した。
高校野球は必ずしも甲子園優勝を目標としている学校ばかりではなく、チームの形、目標設定はさまざま。大切なことは「野球が好きで情熱を持っている」ことだというイチロー氏。今後も時間の許す限り、野球への情熱をもって取り組む高校生たちのもとを訪れたいと考えているという。
■都立新宿高校
令和4年に創立100周年を迎えた進学校。東大、京大、一橋大、早大、慶大などに多数の合学者を輩出している。東東京大会の最高成績はベスト8。
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