旧・公立玉名中央病院(現在の「くまもと県北病院」)の元院長で、医師の中野哲雄被告(73)が病院の研究費を着服したとして業務上横領の罪に問われた裁判で、熊本地方裁判所は無罪判決を言い渡しました。

起訴状などによりますと、中野被告は2016年に研究費約700万円を着服し、自分名義の車の購入費にあてたとして業務上横領の罪に問われていました。

裁判の争点は「整形外科グループ代表 中野哲雄」という名義の口座の預金が、中野被告が自由に使えるものだったかどうかです。

中野被告は裁判で一貫して起訴内容を否認し、弁護側も「個人の口座だと考えるのが自然で合理的」として無罪を主張していました。

一方、検察側は「使い道が研究や業務などに限定されていた」として懲役3年を求刑していました。

「使い道は限定されない」

9月3日の判決で、熊本地裁の中田幹人裁判長は「口座は病院に帰属する」としながらも、「預金の使い道について取り決めや管理・監査がなかったことなどから、支出を研究や業務に限定していたとはいえず、横領行為とは認められない」として無罪を言い渡しました。

弁護団 原啓章 主任弁護人「中野先生は『裁判所の方には正しい判断をしていただいて今ホッとしております』とコメントをもらっています」

くまもと県北病院は、判決内容がわからないためコメントは差し控えるとしています。