■FIFA ワールドカップ カタール大会 ドイツー日本(日本時間23日 カタール・ハリファ国際スタジアム)
ベスト8を目指し臨んだワールドカップカタール大会。日本代表は23日、ドイツとの初戦を迎えた。結果は2対1の逆転勝利。「歴史を変える」と試合に臨んだ森保一監督(54)の言葉通り、世界を驚かせるジャイアントキリングを果たした。
この試合、おそらく多くのサッカーファンは今まで見たことがない森保監督の姿を目の当たりにしたと筆者は思っている。
まず後半開始直後に見せたシステム変更と選手の交代。前半は4-2-3-1で戦った日本だが、MF久保建英(21)を下げ、DF冨安健洋(23)を投入。システムを3-4-2-1に変更した。
これまで森保一監督がファンやメディアから指摘されるもので多かったのは「試合の中での修正が出来ない」こと。それをこの大一番で、しかもハーフタイム明けという相手が対応に追いつかないタイミングで見せつけた。前半からハイプレスをしかけようとするもドイツのビルドアップが一枚上手。ひたすら耐える守備になってしまっていた日本だったが、後半開始直後の修正によって一気に守備がはまるように。前半は余裕の試合運びで折り返したドイツにとってこの変化は予想外だったかもしれない。
しかも日本の3-4-2-1システムはW杯アジア最終予選では使わず、6月、9月の試合、そして17日のカナダ戦でも試合終了間際に使ういわゆる「守備固め」のシステムとして用いられたものだった。恐らくドイツはこの「攻めの3-4-2-1」への対策を持ち合わせていなかったのではないか。
息を吹き返す日本。さらに森保監督はたたみかける。
後半12分にFW三笘薫(25)とFW浅野拓磨(28)を投入したのだ。今年、三笘が交代選手として一番早く投入されたのは6月10日のチュニジア戦の後半15分。他は25分を過ぎたタイミングばかり。今まで攻撃の切り札として使われていた三笘はいつもより早くピッチに入っていった。
「時間でしか選手を代えない」などとも揶揄されてきた森保ジャパンが次々と積極的に選手を投入していく。26分にはMF田中碧(24)をMF堂安律(24)に、30分にはDF酒井宏樹(32)をMF南野拓実(27)に代え、酒井が入っていた右のWBにMF伊東純也(28)を据えた。守備的な選手から攻撃的な選手への交代。攻撃に厚みを増した日本の勢いは加速し続け、その直後に堂安の同点弾を呼び、その8分後に浅野の逆転ゴールが生まれた。
試合中の修正と積極的な選手交代。ドイツのデータはおろか、日本サポーターも見たことがないだろう森保ジャパンがそこにはあった。この大金星は采配を的中させた森保監督の勝負師としての胆力がなければ成し得なかったものだ。
そんな森保監督は、9月27日に行われたエクアドル戦の前日会見で興味深い発言を残している。23日のアメリカ戦からスタメン全員を入れ替えることについて問われ、次のように答えた。
「(ベスト8という)過去6大会を上回る結果を残すには同じようなことをやっても結果は出ないと思うし、難しいことをやってチャレンジしていくことを、覚悟を持って準備している」
果たして、このドイツ戦の采配は試合を読んでの判断だったのか、長期間の大博打だったのか。そして、どこまでが日本のプランだったのか。いずれにせよ森保監督には世界を驚かす準備が出来ていたのは間違いない。
ベルギーに逆転を許した18年ロシア大会の「ロストフの悲劇」から1605日。日本代表は悲願のベスト8へ歩み始めた。
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