「エアコンは生命維持装置」 大丈夫と考えている人の多さに院長が危険視

いま、「エネルギー貧困」という言葉が注目されている。

必要な電気やガス代の支払いが困難になるなどの状況を指し、エアコンの使用を我慢している状態も含む。

実態調査に取り組んできた一橋大学の古賀勇人氏は、地域や季節などによって差はあるが、平均すると約1割の世帯がエネルギー貧困の状態にあるとみている。

一橋大学 講師(環境地理学)古賀勇人氏
「生活保護基準ではない人たちでも、エネルギー貧困になりやすい人は多い。例えば、年金世帯(の一部)は生活保護世帯より、大変な状況にあったり、シングルマザー世帯などがより脆弱な状況に置かれていることが研究でわかってきている」

東京大学などの分析によると、2013年以降、東京23区において屋内で熱中症で亡くなった1295人のうち84.3%が、エアコンがないか、使用していなかった。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬 院長
「エアコンが必要だとか、そういったことをわかっていても、実際に導入できない方というのは、たくさんいらっしゃるわけですよね。厳しい環境で亡くなられてしまった方は実際に(患者で)数名いらっしゃいました。

エアコンを使用されていない方が体調崩されているというのが、目の前で起こっている現実ですから。災害化した猛暑の中において、エアコンは生命維持装置のひとつと捉えていただいた方がいいですよと、患者さんや地域の方々にはお声がけしています」

その一方で危険なのは、自分は大丈夫だと考えている人の多さだという。

田代院長
「(熱中症に対して)自分は大丈夫だと思っていた方が大多数だし、(熱中症を)乗り越えた後も、乗り越えたから大丈夫だろうとなってしまう方がいて、継続的な支援や指導を続けていく難しさ、必要性は日々痛感しています。

そういった方が(エアコンがないことを)危機的な状況だと捉えていればまだ色々動けるんですけど、(エアコンがないのが)もう当たり前のことと思ってしまって、なかなかこれを改善することはできないと思っている方が非常に多い」

一人で暮らす男性は、熱中症になった後でも、我慢すればいいと繰り返した。

男性
「エアコンをつければ確かに楽かもしれないけどね」

村瀬キャスター
「身体はだいぶ楽になるんじゃないですか?」

男性
「なると思うけど、でもいいです。少し汗ばんではいるけど、自分で(身体に)負担かかっているとは、あんまり思えないんですよね」

村瀬キャスター
「クーラーなしで我慢されるんですか」

男性
「我慢というか、我慢するんですよ」