お盆を過ぎても広島県内では厳しい暑さが続いています。瀬戸内海に浮かぶ生口島では、若手の農家が日照りや雨不足からかんきつを守ろうと奮闘しています。
近藤志保 気象予報士
「収穫前の瀬戸田レモンです。この時期としては玉太りがよく、いいコンディションだということです」
尾道市瀬戸田町にあるかんきつ農家「ルモン」です。代表の山本凌生さん(27)は、4年前に父から農園を受け継ぎました。

ルモン 山本凌生 さん
「かんきつは好きですよ。いっぱい食べるし。自分のものをつくるってなかなかできないので、それが魅力かなって思います」
山本さんの代になってパッケージや倉庫の装いを新たにしました。学生の時に住んでいた東京での人脈を生かし、人気ファッションメーカーとコラボして、東京のアパレル店などでフレッシュジュースのお店を出すこともあります。曾祖父から続く農園を守るため、試行錯誤の毎日だといいます。
ルモン 山本凌生 さん
「梅雨が短かったのが一番しんどかった。灌水っていうのもあるけど、雨が全体に降るのにはかなわないので…悲しい」
レモンはかんきつの中でも特に水が必要です。また、強すぎる日差しはミカンの日焼け被害につながります。統計史上最も早い梅雨明け発表以降、瀬戸田町ではしばらくまとまった雨が降りませんでした。(※7月の生口島降水量は平年の26%)7月は、最高気温の記録が上位3位まで塗り替わりました。
ルモン 山本凌生 さん
「雨が少なかったり水が少なかったりすると、柑橘の葉っぱはこうやって内側に丸まってくるので、だんだん弱っているなという印になります」
しかし、お盆前の3連休が恵みの雨となり、レモンやミカンの玉太りはよくなったといいます。
ルモン 山本凌生 さん
「うれしい。お金が降ってるなというくらい。最高でした」
この時期は、ミカンの一つの玉に栄養を集中させるため、周りの玉を摘み取る摘果作業に1日8時間をかけます。
ルモン 山本凌生 さん
「手作業です全部。機械があったらいいですけど。薬で落としたりする農家さんもいるんですけど、味が変わる気がして」

山本さんにとって、ミカンは「わが子のような」存在です。
ルモン 山本凌生 さん
「なんかね愛着があるんですよね、レモンより。悲しいんですよ、みかんが出荷されていくのが。オレンジ色でかわいいからですかね、黄色より」
気象庁が19日に発表した3か月予報では、この先10月まで平年よりも気温が高い予想、今年も残暑が厳しく、秋の訪れは遅いようです。
ルモン 山本凌生 さん
「ミカンはしんどかったんじゃないかな、ミカンに聞いてみた」
秋の出荷に向けて、山本さんは愛情を注いでいきます。