8月15日午後、北海道知床半島の羅臼岳(標高1661m)で見つかった遺体は、クマに襲われた東京に住む26歳の男性だったことがわかりました。
知床半島の羅臼岳では、14日午前、登山中の男性がクマに襲われ行方不明になっていて、15日午後1時半ごろ、登山道から200メートル離れた山中で遺体が見つかりました。
警察によりますと遺体は斜里警察署に運ばれ、家族が確認したところ東京都墨田区の会社員、曽田圭亮さん26歳と判明しました。
遺体が見つかった付近では3頭の親子のクマが駆除されていて、警察などは男性を襲ったクマかどうか調べています。
■友人は素手で殴り、追い払おうと…
14日午前11時10分ごろ、北海道斜里町。知床半島にある羅臼岳の山中から、警察に通報がありました。
襲われたのは、東京都墨田区の会社員・曽田圭亮さん(26)。
曽田さんは友人と羅臼岳を下山中、標高550メートル付近でクマに襲われ、そのまま登山道のわきの茂みに引きずり込まれていきました。
友人は曽田さんの約200メートル後方を歩いていましたが、名前を呼ぼれたため駆け寄っていくと、クマと格闘する曽田さんを目撃しました。
曽田さんは両足の太ももから大量に出血。友人はクマを素手で殴り、なんとか追い払おうと必死に抵抗しましたが、クマは曽田さんを引きずりながら、茂みに消えていきました。
警察は、山中にほかの登山者がいることなどから、クマが出没しても発砲できず、安全上の理由から14日は、地上からの捜索を断念。

日没までにヘリで登山者約70人を救出し、翌日15日早朝からハンターや警察犬らとともに曽田さんの捜索を再開しました。
午後1時ごろ、捜索隊は曽田さんが襲われた現場付近で、親子グマ3頭に遭遇。
ハンターが親グマを駆除し、その30分後には子グマ2頭も駆除されました。
曽田さんは駆除された親グマのすぐそばで、遺体で発見されました。下半身が激しく損傷していたということです。
また、近くには曽田さんの所持品だと思われる財布や催涙スプレー、血の付いたシャツや破れたズボン、腕時計、キャップなどもありました。
曽田さんの遺体はヘリで収容され、斜里町の病院に搬送されました。
搬送先の病院で曽田さんの遺体を確認した父親は、「夏に野生動物の事故に遭うのは悔しい」と話していたということです。