1人で1000人を超える被爆者の声を記録し続けたジャーナリスト・伊藤明彦さんの特別展が長崎市で開かれています。

故・伊藤明彦さんは33歳でNBCを退職後、全国2000人の被爆者を訪ね歩き、半数に断られながらその半数の声を記録しました。

長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で行われている特別展では、伊藤さんが実際に使っていた録音機や、詳細なメモ付のテープなどとともにその生涯が紹介されています。

国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館・松尾真由美副館長
「夜は土木現場で働いたり、キャバレーの皿洗いをされたり、その熱意や思いもすごいと思う」

1971年にスタートした「被爆者の声」の収録は、2年後には200人、3年後には400人と驚異的なペースで進み、8年で1000人を超えました。伊藤さんは記録した「声」を全国の図書館などに寄贈しています。

「白骨になった方々の頭がい骨を両手で持ち上げまして…この両手をいまでも見つめる時がある」

海外への発信計画も立てていた伊藤さん。被爆者の声に突き動かされ、走り続けた72年の人生を紹介する特別展は、9月30日まで開催されています。