青森県ではクマの出没件数がすでに1000件を超え、過去最多だった2023年を上回るペースとなっています。こうしたなか弘前市ではリンゴの食害が相次いでいて、これから迎える本格的な収穫期を前に農家は頭を悩ませています。
1頭のクマがエサが設置された罠をうかがっています。しかし中には入らず、通り過ぎています。別の場所でも草でカモフラージュされた「箱わな」を前に引き返しています。これは、弘前市で撮影された映像です。
すでに出没件数が1036件と過去最多のペースでクマが出没している県内と同様、弘前市でもクマの出没が相次いでいます。
一大地区鳥獣被害対策協議会 齊藤光秀 会長
「爪あとを見れば、たぶん子グマも来ている。親子グマだと思う」
一野渡と大和沢、通称“一大地区”で鳥獣対策に取り組む齊藤光秀さんです。
齊藤さんはリンゴ農家でもあり、今シーズンは食害が発生する時期が早いと懸念を抱いています。
一大地区鳥獣被害対策協議会 齊藤光秀 会長
「たまたま夕方に来たら、そこにいた。クマはこっちに行き、そこに畑があって、毎日来ていた」
弘前市では7月末時点で、出没件数と捕獲件数いずれも過去最多ペースでリンゴの食害もすでに19件確認されています。実際に14日に訪れた園地では、「王林」や「ジョナゴールド」の一部が食べられていました。
齊藤さんはハンターをしていた経験もあり、クマが通るルートを把握していて、今シーズンはすでに5頭のクマを捕獲していますが、これから収穫の秋に向け、食害がさらに増えると不安を募らせています。
一大地区鳥獣被害対策協議会 齊藤光秀 会長
「クマ被害で一番程度が悪いのが、全部の枝を折ってしまうこと。こういう枝をまた作るとすれば、5年はかかる。こうなると、だんだん辞めていく。しょうがないが…」
弘前市では、今年度実施している侵入防止策の整備に加え、「箱わな」の購入支援などを検討していて、相次いで出没するクマへの対策を強化しています。