ターニャの父から唐突に
何度も家に招かれ、何度も食事を共にし、ターニャやその両親と関係を深めていった春男さん。いつしかターニャだけでなく、両親の信頼も勝ち取っていた。春男さんから聞く日本の話には、とても興味があったようで、いつも熱心に耳を傾けていた。そんな折、父親が唐突に話を切り出してきた。
「ハルオ、うちの娘と一緒になってくれないか?」
「えっ」
春男さんは驚くというより、呆気にとられていた。一緒というのは結婚を意味しているからだ。出会ってからすでに2年の歳月が流れ、ターニャもすでに20歳を越えていた。ロシアでも結婚してもおかしくない年齢ではあるが、その年齢より、日本人の自分にアプローチしてきたことに呆気にとられたのだ。
「日本人でも良いのですか?」
思わず質問した。
「日本人かどうかなど関係ない。君に娘のターニャをもらってもらいたい」
そして、ほどなくしてターニャからも「ハルオ、一緒になって」とプロポーズされたと言う。