記録的に早い梅雨明けと猛暑で、広島県北部のダムでは貯水率が低下していましたが、3連休の大雨で回復しました。地元の農家にとって、恵みの雨となったのでしょうか。

RCCウェザーセンター 末川徹 気象予報士
「安芸高田市の土師ダムです。とても大きいです。マツダスタジアム56個分の広さを誇ります。先週までと一転、水が一気に溜まりました」
1週間前は水位が低く、地面の一部があらわになってました。このときの貯水率は50%台まで下がったものの…。先週からの大雨で100%に回復しました。安芸高田市美土里では、降り始めからの雨量が、8月の1か月分に相当する150mm以上となりました。土師ダムは、江の川とは別に、分水トンネルを通して太田川にも水を供給しています。広島市をはじめ、11の市や町の家庭用や工場用水として利用されています。水不足が懸念されていた先週は、放流する水の量を一時制限していましたが、貯水率の回復に伴い通常通りに戻りました。
農家「時期的に穂が大きくなって、重たい。雨で叩かれた」

土師ダムの近くで代々、コシヒカリを栽培している農家は、雨のタイミングに複雑な思いを抱えています。
農家「やはり降りませんでした。田んぼが白くなり、ひび割れした」
収穫時期が早い品種のため、田んぼに多くの水を必要としたのは、今回の大雨より前でした。
農家「今から(水は)あまり必要ない。遅い品種はいると思うが、梅雨時期に雨が少なかったので、一番響いている」
一方、三次市の灰塚ダムでは国が15日からの取水制限を始める計画でしたが、貯水率が100%に達しています。各地の水不足を一気に解消した今回の大雨。中国地方整備局は「ダムの貯水率が回復しても無駄遣いをせず、水資源を大切にしてほしい」と呼びかけています。