神奈川県横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」のえん罪事件について、最高検は「警視庁公安部に対し、立件に不利な証拠の確認などが不十分だった」とする検証結果を公表しました。
化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人は、軍事転用できる噴霧乾燥機を中国などに不正輸出したとして逮捕・起訴されましたが、初公判の直前に起訴が取り消されました。
会社側が賠償を求めた裁判では、捜査の違法性を認め、東京都と国に賠償を命じた東京高裁の判決が確定しています。
最高検は、捜査の経緯について検証を進めてきましたが、きょう(7日)、「警視庁公安部に対し、立件に不利な証拠の確認などが不十分だった」などとする検証結果を公表しました。
検証結果によりますと、捜査を担当した検察官について、「立件に不利な証拠の信用性について慎重な検討をせず、その裏付け捜査に至らなかった」と指摘。
さらに、「検察官の交代に伴って、問題意識や補充捜査事項に関する引き継ぎは、確実には行われていなかった」「立件に不利な証拠が、公安部副部長より上位の決裁官に報告されてなかった」などとし、組織としての問題点についても言及しています。
一連のえん罪事件をめぐっては、社長とともに逮捕・起訴された元顧問、相嶋静夫さん(当時72)が、勾留中に見つかった胃がんが原因で亡くなりました。
最高検は、勾留中の相嶋さんらの保釈請求への対応について、「罪証隠滅の恐れがあると判断して、一貫して反対意見を述べた」と明らかにした上で、「病状が生命に直接関わる重篤なものだと容易に把握できたのであるから、弁護人と連絡を取りつつ拘置所に診察・治療の状況などを確認する必要があった」とし、「病状を的確に把握し、あえて反対意見を述べないなどの柔軟な対応を取ることが相当であった」としました。
今後の取り組みについては、▼警視庁公安部が送致する一部の事件に関わる「公安公判担当検察官」を東京地検特別公判部に新たに配置することや、▼今回の検証結果を全国の検察官に説明を行うこと、▼拘置所などとの間で勾留中の被告などの病状に関する連絡体制を強化するなどとしています。
一方で、最高検は捜査に関わった検察官に直接指導を行ったものの、処分はしませんでした。
この理由について、「動機や背景、事情などを総合した結果、よりよい検察権行使のためには、懲戒処分をするより指導をしっかり行うことが必要で適切と判断した」としています。
最高検は、検証で明らかになった点を「検察全体の問題」とした上で、「全ての検察官が、『検察の理念』に則った適正な検察権行使を全うすることができるよう、最大限の努力をしていく」とコメントしています。
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