母の足跡をたどって…

今年3月、山澤さんは東広島市に向かいました。会いに行ったのは、アイ子さんの親戚・荒谷信子さんです。山澤さんが取り上げられたニュースを見て、連絡をくれました。

荒谷さんにとって10歳ほど年上のアイ子さんは、憧れのお姉さんでした。

そんなアイ子さんが亡くなるほんの少し前のことです。アイ子さんは体調を崩し入院していましたが、突然、夜にアイ子さんが夫と一緒に訪ねてきたといいます。

アイ子さんの親戚 荒谷信子さん
「アイ子ちゃんを自転車の後ろに乗せて、寝間着のままで、病院からうちへ来られてね。夜遅くに。『お礼を言いたか』って、アイ子ちゃんが」

しばらくして、アイ子さんの訃報が届きました。

荒谷信子さん
「もう、アイ子ちゃんも(子どもを)1人残して、どんなつらかっただろうって、家族みんなで泣いていう話してたんですよ」

それだけに、幸せそうに暮らす山澤さんの姿を見て安心したといいます。

荒谷信子さん
「アイ子ちゃんも喜んでられると思います」
山澤寛治さん
「お母ちゃんが会わせてくれたんかな」

被爆から80年。アイ子さんが亡くなって60年…。おぼろげだった母の姿が少しずつ輪郭を帯びてきています。