■”地層の断面”は私たちに何を伝えるのか…


(香川大学創造工学部 寺林優教授)
「過去の津波堆積物の報告は、瀬戸内海沿岸域ではありません。いつどれ位の規模で津波が襲来したかということが分かる時代は、3000~4000年前じゃないかと思います」


取り出したサンプルが、香川大学にやって来ました。早速針金を使い半分に割り、断面を確認します。表面を整えていないにもかかわらず、断面からは様々な情報が見て取れます。


(香川大学創造工学部 寺林優教授)
「ここの下はすごい境界が明瞭になっています。これは何かのイベント(出来事)があった可能性もあります」


南海トラフ地震とみられる過去の文献の記録は、今からおよそ1400年前の7世紀ごろまでしか遡ることができません。


(香川大学創造工学部 寺林優教授)
「歴史資料に残っている地震、もしくは津波より以前の情報を得られるのが地質学。年代でいうと、放射性炭素年代を使えば5万5000年前までわかる」


寺林教授らは今後、堆積物の中に残された土の成分や生物の痕跡を、X線なども使って詳しく調べることにしています。


(香川大学創造工学部 寺林優教授)
「津波シミュレーションの改定にも役立つと考えています。ですから、香川県はじめとして瀬戸内海沿岸域の周辺部の防災対策にも役立つ」


調査を瀬戸内海全域に広げれば、より詳しく過去の津波データが収集できます。私たちの地震への向き合い方も変わるのかもしれません。