農業政策の歴史的転換です。これまで「コメは足りている」としていた政府ですが、5日、「コメは不足している」と主張を180度転換しました。さらに石破総理は「コメの増産に舵を切る」との方針を表明しました。

政府がコメの増産へ転換 小泉大臣「判断を見誤ってしまった」要因は?

スーパーの棚からコメが消えた2024年8月から1年。
8月5日午後4時半ごろ、関係閣僚会議で、政府が“コメ政策の転換”を発表しました。

石破茂 総理
「『コメを作るな』ではなく、生産性向上に取り組む農業者の皆様が、増産に前向きに取り組める支援に転換します」

これまで一貫して「コメは足りている」と主張してきた政府。今回初めて「誤り」だと認めたのです。

石破総理
「生産量が足りていると判断していたこと。備蓄米の放出のタイミングや方法などが適切でなかったこと。こうしたことが価格高騰を招いてしまったと考えざるを得ません」

小泉農水大臣も、コメが不足した要因について…

小泉進次郎 農水大臣
「人口減少などに伴って、需要は減り続けるだろうと、そこの判断を見誤ってしまった

「需要の見通し」と「需要実績」を見ると、2024年と2023年は、実際の需要が大幅に上回ったことがわかります。

【コメの需要】(農林水産省より)
▼2023年(令和5年産)
需要見通し:682万トン、需要実績705万トン
→需要が23万トン上回る

▼2024年(令和6年産)
需要見通し:674万トン、需要実績711万トン
→需要が37万トン上回る

その要因として、▼インバウンドの増加や、▼物価高騰の中で、他の食料品より比較的安いコメが食べられたこと(購入量の増加)▼ふるさと納税の返礼品の販売が増えたこと、などを考慮できていなかったといいます。

さらに、生産面での予測も見誤っていました。

2024年、2023年の猛暑の影響で、白く濁ったコメが多く、精米後の食べられる量が想定より少なかったのですが、それを見落としていました。

こうした「需要の増加」と「供給量の減少」、両方を見誤った結果、2024年6月に5キロ2169円だったコメ価格は、2025年5月には4285円まで高騰しました。

【コメ スーパー販売平均価格】5㎏あたりの価格
2024年6月:2169円
2025年5月12日~18日:4285円
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成