■横断幕を持たされ撮影された写真が…「既成事実を作りたかったのか」


小川キャスター:
軍の会見で出された写真には、ミャンマー軍を批判するような内容の横断幕を持っている久保田さんが写っています。実際にこうして横断幕を持ってデモに参加したということはあったんですか?

久保田徹さん:
そのような事実はなかったです。この写真は警察に拘束された後に、4人で並ばされてもう何も分からず、このようなものを持たされて写真を撮らされました。このように使われていたのを知ったのも後のことです。既成事実を作って、起訴しやすくしたのかなという風に理解してます。

小川キャスター:
結果として久保田さんには「禁錮10年」という判決が言い渡されました。判決を聞いたときはどんな心情でしたか?

久保田徹さん:
10年という年月はあまりにも重たく実感がわきづらいですが…宣告されると目の前が暗くなるような衝撃がありました。

小川キャスター:
刑務所での生活はどんなものだったんですか?

久保田徹さん:
私が居たのは外国人用のブロックで、独房だったんです。1人で1部屋の独房の中で暮らしていました。同じブロック、区画の中の人たちであれば、自由時間で一緒に話すことはできました。大体端から端まで歩いて50歩ぐらいの空間なんですけれども、それ以外の空間には行くことができないような状況にありました。

■「彼らの映像はまた撮りに行きたい」刑務所には日本育ちのミャンマー人通訳も

小川キャスター:
同じような境遇の方というのはいらっしゃったのでしょうか?

久保田徹さん:
同じブロックの中の人々としか話せないんですが、例えばオフィスに呼ばれて通訳を通して質問されたりすることがありました。その時に通訳としてミャンマー人映像作家のテインダンさんという方にお会いしたことが、とても印象に残っています。



彼は1年半前から拘束されていて、同じく日本人で拘束されていた北角裕樹さんと同じようにデモを撮影し、逮捕された方でした。

しかし、テインダンさんは日本で育っているミャンマー人なので、日本の永住権はあるけれど日本国籍は持っていない。つまり同じ罪状として、同じ行為をしたことに対して逮捕されているんですけれども、彼はもう既に1年半、刑務所の中にいて、まだいるんです。彼についてはどうしても伝えておきたいなとずっと思っていました。

小川キャスター:
そうした政治犯として多くの方が獄中にいる中で、日本に今帰ってきたばかりですが、またミャンマーに行きたいという思いは?

久保田徹さん:
まずこのようなデモを撮影して逮捕されたりするようなことがないような状態になってほしいと思っています。そのような状態でまた改めて、そこで生きる人々について、そのなかにも友人がたくさんいますので、彼らについての映像はまた撮りに行きたいです。

もちろん日本国内にいながらできることや、国内でいろんな在日ミャンマー人の方と協力してやれること、またそれに限らずあらゆる自由を奪われている人々の側に立って映像を作っていきたいなと思っています。