静岡のいまを深掘りするインサイト。水曜日は「現場から、」です。男性のイメージが強い「消防の現場」ですが、女性の割合も年々、増えてきています。女性消防官が求められている理由とは?また、彼女たちが働きやすい環境づくりはどこまで進んでいるのでしょうか。

 男性にまじって、訓練をしているのは田方中消防署に勤務する飯泉亜美紗さん22歳です。飯泉さんは火災が起きた時、現場にいち早く駆け付け、消火や救助活動をする消防隊に所属しています。
<田方中消防署 飯泉亜美紗消防士>「小学校から陸上競技を続けてきて、たくさんの方に支えられてきたので、そこで培ったガッツと根性を活かして地元に恩返しをしていきたいと思い、消防士を目指しました」
 この消防署で消防隊で働く女性は飯泉さん1人ですが、彼女はとても大切な存在となっています。
<田方中消防署 飯泉亜美紗消防士>「呼吸の確認をしていきます。胸に手を当てますね」
 消防官は救命活動の中で、患者やけが人の体に触れるケースが多くあります。特に女性にとって同性の隊員がいることは大きな安心につながっているのです。
<駿東伊豆消防本部 後藤寿雄消防司令長>「女性ならではの視点を取り入れることで、救急現場では女性ならではの心配り、柔らかな印象が傷病者に安心感を与え、より細かな対応ができています」
 女性消防官の数は増えつつありますが、割合でみると全体の3.2%。警察官や自衛官と比べても、消防官はまだまだ低いのが現状です。飯泉さんが働く駿東伊豆消防本部も3.6%。4年後には割合を5%以上にできるよう女性が働きやすい環境づくりを進めています。たとえば、こちらの消防官。他とは違った制服を着ています。
<田方中消防署 長澤仁美消防士長>「(妊娠して)お腹が大きくなったので、マタニティ用の執務服を着用しています。エプロンタイプの服になっています。こちらには、階級章がついています」
 従来の制服はズボンでしたが、妊娠後も働きやすいようにとエプロン型の制服が新たに作りました。
<田方中消防署 長澤仁美消防士長>「お腹に負担がかからないので、すごく着やすいです。ベルトがすごく苦しくなってしまうが、これだと締め付けられるものがないので、とても快適に仕事をさせていただいています」
 昼夜問わず働く消防官、こんなところにも気を配ります。
<沼津北消防署 原分署 杉山七海消防士>「こちら、女性専用の仮眠室となっております。平成29年1月にできました。鍵が閉まるようになっています」
 女性用の仮眠室は個室です。さらに洗濯機やシャワー室もあり、快適に過ごすことができます。
<沼津北消防署 原分署 杉山七海消防士>「洗濯ものを干したときに、男性と女性の下着が違うので、見られないという部分がとても安心できる」
 ただ、こちらの消防本部で女性仮眠室があるのは18署中7署。こちらも早い改善が必要です。
<駿東伊豆消防本部 後藤寿雄消防司令長>「消防士=男性の職場というイメージがまだまだ強いと感じますので、女性消防官という職種を認知されるよう、女性消防官の勤務内容ややりがいなどを周知していければと思っています」
 女性が働きやすい環境づくりは始まったばかり。ただ、間違いなく消防の現場は変わろうとしています。