長崎大学病院は移植用臓器の保存状態を高める新たなシステムを用いた肝移植手術に国内で初めて成功したと発表しました。
長崎大学病院では欧米ですでに導入されている移植臓器の「灌流保存」を国内の医療現場でも導入できるよう4年前から研究を続けていて、「肝臓灌流システム」と呼ばれる新たな機械を開発しました。
従来、脳死したドナーから摘出した臓器は移植手術まで冷却保存されますが、今回開発した機械を使うと手術前の臓器に酸素を含む保存液を循環させることができ、冷却保存のみの場合と比べより良い状態で移植することが可能になります。
長崎大学病院は今年5月に国内で初めてこの灌流システムで保存した肝臓を50代男性に移植する手術を行い、無事に成功したということです。
長崎大学病院肝胆膵・移植外科 曽山明彦准教授「この機械灌流という概念がまず日本でこの移植に導入されて、移植率の増加や、あるいは今まで移植が難しいと思われてた臓器の評価などが出来る事でですね、提供された臓器を移植する割合が増えるかもしれません」
脳死肝移植を待つ患者は国内に500人ほどいるものの実際に移植を受けられるのは年間100人ほどに留まっていて、長崎大学病院では今後も臨床研究を続け移植医療の進歩につなげたいとしています。