連日の日照りは、農作物の成長のさまたげとなりますが、高温や雨の少なさが与える影響は、それだけではありません。カメムシの増殖が予想されるため、広島県内には注意報が発表されました。
農事組合法人「かみだに」黒木啓之 代表
「水の確保が大変苦労しています。ことしも去年も」

黒木代表は、もともとこの地域は水が少なく、管理が大変だと話します。
近藤志保 気象予報士
「先月末の梅雨明け以来、世羅町では毎日のように晴れています。高温と雨不足は、稲の不作に追い打ちをかけてしまうんです」
高温と雨の少なさは、カメムシの増殖につながります。世羅町の平年の7月の降水量は、226.3mmですが、ことしは55.0mm(28日時点)にとどまっています。)これから稲の害虫となるカメムシの発生が多いと予想され、被害拡大が懸念されることから広島県農林水産局は、カメムシの注意報を発表しました。注意報は、記録的な暑さとなった2024年に続いての発表です。
農事組合法人「かみだに」黒木啓之 代表
「こういう株元にいるんですよ。大丈夫ですね。直接お米の品質を落とすので、(穂先を)捕られるより辛いです」

この時期、カメムシは田の周りの雑草に生息しますが、日照りで雑草が枯れ、水田に入ってしまうようです。「かみだに」では、例年、害虫駆除の薬剤の散布をシーズンに1回だけ行いますが、ことしは注意報を受けて、2回に増やしました。29日は2回目の散布。世羅町は、午前9時の時点で30℃を超え、厳しい暑さの中の作業です。
ドローン操縦者
「昼からは作業はしんどいですよね。ずっとこの調子ですから大変ですね」
日陰で水分補給をして、作業の再開です。
農事組合法人「かみだに」黒木啓之 代表
「これが絶対必要です、このシーズンにはね」
薬剤散布の回数を増やすと苦労も増えます。
農事組合法人「かみだに」黒木啓之 代表
「コストが1番ですかね。この暑い中でいくらドローンだといっても、作業しないといけないのでそこも大変なところですね」
広島県内では、今後もしばらく猛烈な暑さと雨不足は続くと予想されます。
農事組合法人「かみだに」黒木啓之 代表
「地道にお米を作り続ける、それを消費者に供給する、それしかできませんからがんばって行きたいと思います」
稲の敵は、カメムシだけでなく、シカやイノシシ、鳥もいるため、農家にとっては複数の苦労となります。「かみだに」では、ことし初めて暑さに強い品種の栽培も始めていて、今後も割合を増やしていく見込みだということです。