「すごくきょうだい思いのいいお兄ちゃんだった」

「下の子たちの面倒をみて遊んでた。一生懸命やってたよ」

「もうほとんど下の子の面倒は上のお姉ちゃんとかお兄ちゃんが見ていた印象。ああいうのを“ヤングケアラー”っていうんだろうなって…」

埼玉県・白岡市の住宅で15歳の中学3年生の少年が死亡した事件の近所の人たちの証言だ。

取材を進めると、学校にもほとんど通っておらず、幼いきょうだいたちの面倒を一生懸命に見ていた、15歳の姿が浮かび上がってきた。


■「部屋をのぞいたら息子が…」 顔にアザ 上半身に複数の骨折


1月15日の早朝、午前4時50分、埼玉県・白岡市の住宅でこの家に住む母親から119番通報があった。

「部屋をのぞいたら、息子が意識もうろう状態だ」

救急隊がかけつけると、1階のリビングの布団の上に、この家に住む15歳の少年が意識不明の状態で倒れていて、そのまま病院に運ばれた。そして3日後の18日、少年は搬送先の病院で死亡した。

司法解剖の結果、死因は「急性硬膜下血腫」だったことがわかった。頭に強い衝撃を受けたことが原因とみられる。さらに、顔などにはアザがあったうえ、肋骨など上半身に複数の骨折があった。

警察は、少年が何者かに暴行を受けていたとみて傷害致死容疑で捜査を進めている。


■“学校にほとんど行っていない” 引っ越し前は「給食」食べるだけのような学校生活

少年の家族は、38歳の母親と、母親の交際相手の男性、そして8人のきょうだいだった。高校生の姉がいたというが、男の子のなかでは少年が一番年上の“長男”だった。下の子たちには小学校低学年の子や、もっと幼い子もいたという。

白岡市に家族が引っ越してきたのは5年ほど前。近所の人は、幼いきょうだいたちの面倒を一生懸命見る、少年の姿をたびたび見ていた。

近所の人A
「いつも子ども同士で仲良く遊んでいてね。上の子が下の子の面倒をよくみるなと思って感心していたんだけどね」

近所の人B
「下の子の面倒をよくみて遊んでいたよ。それは一生懸命やっていたよ。スケボーから一輪車から色んなものをさ」

近所の人C
「警察から少年は『不良のような子か?』と聞かれましたが、全くそんな子ではない。すごくきょうだい思いのいいお兄ちゃんだと思います」

一方で、少年は“ほとんど学校へ行っていなかった”という。

少年と同級生の娘がいる母親
「家族が白岡市に引っ越してきたのは、少年が小学校5年生ぐらいのころでした。ただ、少年はそこからここ4、5年ぐらいで数回しか学校へは行っていないと思います。ほとんど学校に来ていなくて印象がないんです。最初の頃は、子どもたちも心配して声をかけていたんですが、だんだん来ないのが当たり前になってしまっていました」

少年は、白岡市に引っ越して来るまでは埼玉県内の別の場所で暮らし、その地域の小学校に在籍していた。同級生によると、引っ越す前の小学校では、いまよりも学校へ通っていたというが。

引っ越し前の小学校の同級生
「いつも来るのが3~4時間目、お昼ぐらい。朝ご飯を食べられないらしくて給食を食べて、食べるだけに来るみたいな。おかわりをたくさんして。学校に来る目的が違った。(Q.いつごろ来なくなった)あんまり覚えていないが、本当に突然です。突然姿を消したように来なくなって…」

引っ越した後の、白岡市の小学校の卒業アルバムにはクラスごとの生徒紹介のページに、少年の写真は載っていない。