8日投票が行われた、アメリカ政治の行方を大きく左右する中間選挙。開票作業は続いていて、連邦議会下院は、野党・共和党がリードする一方、上院は与野党の接戦が続いています。
■共和党の“ビッグウェーブ”起きず 理由はトランプ派の“悪目立ち”?
小川彩佳キャスター:
現時点での選挙情勢は?
TBSワシントン支局長 樫元照幸記者:
与党・民主党が健闘した、踏みとどまったと言えます。事前の予想通り、野党・共和党が下院では多数を握りそうな勢いですが、少なくとも大勝はなさそうな情勢です。
その理由はいくつか考えられます。1つは、投票所の出口調査で最も重視した争点を聞いたところ「インフレ」が当然一番に来て、これが与党・民主党にとっては逆風だったんですが、2番目には「人工妊娠中絶」の問題が来ました。

中間選挙は投票率が40%くらいと低く、本来は政治参加の意識が高い人が足を運ぶような選挙ですが、今回は「中絶の権利」「女性の権利」を重視して投票に行った人が多かった可能性があります。
もう1つの理由は、トランプ前大統領の強気な主張やトランプ派候補の躍進と言動が目立つ選挙戦でもあったことから、トランプ派の勢いに一種の危機感を感じた人が投票所に足を運んだ可能性があります。

いずれにしても、共和党のビッグウェーブを狙っていたトランプ氏にとっては、不満の残る結果となっています。これに関連して、CNNテレビの記者がツイッターでトランプ氏周辺の話として、「トランプ氏が怒りで周囲に怒鳴り散らしている」と伝えています。
■“トランプチルドレン”も当選確実 「トランプ大統領」に現実味?
国山ハセンキャスター:
今回の選挙で存在感を示したのがトランプ前大統領です。トランプ氏が支持する“トランプチルドレン”は224人が選挙に出馬したと言われています。
中間選挙では州知事の選挙も行われますが、州知事は選挙に関する権限を持っています。そのため、今後行われる大統領選挙の結果の認定などにも大きく関わることになります。
その州知事にも“トランプチルドレン”がいて、アーカンソー州で当選確実となったサンダース氏はトランプ大統領時代の報道官を務めた女性です。アリゾナ州で接戦となっているレイク氏は2年前の大統領選挙の結果を受け入れない、いわゆる選挙否定派の人物です。

小川彩佳キャスター:
トランプ氏が再び大統領に返り咲くというシナリオは今もあるんでしょうか?
TBSワシントン支局長 樫元照幸記者:
十分に考えられます。トランプ派の候補は今回多数当選しています。その勢いで、来週トランプ氏自身が大統領選挙への出馬を表明するのではないか見られています。

トランプ氏が一定の強固な支持層を持つことが今回の選挙でも改めて示されました。ここに対抗馬として、フロリダ州のデサンティス知事や、トランプ氏と一定の距離を置くペンス前副大統領、メリーランド州のホーガン知事、リズ・チェイニー議員などいくつかの名前はあがってきますが、現時点ではトランプ氏が共和党内で大きくリードしているというのは間違いないです。
(『news23』 11月9日放送より)














