イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く中東情勢をめぐり、去年(2024年)ノーベル平和賞を受賞した日本被団協が17日、声明を発表しました。「核施設への攻撃は絶対に許されない」などと訴えています。

日本被団協は17日、「世界はヒロシマ・ナガサキの悲劇を忘れたか」と題する声明を発表しました。

声明のなかで日本被団協は、イスラエルがイランの核関連施設を空爆するなど緊張が高まっていることを踏まえ、「核施設への攻撃は絶対に許されません。80年前にヒロシマ・ナガサキでの原爆を体験した被爆者は強く抗議し、停戦を呼びかけます」などと訴えました。

【声明全文】(原文ママ)
6月13日、イスラエルのネタニヤフ首相はイランの核関連施設を空爆したことを明らかにしました。この軍事攻撃で標的は100カ所以上、高官も殺害されました。イランも報復として無人機を発射するなど2カ国の対立が先鋭化してきました。強い憤りと不安を禁じえません。

核施設への攻撃は絶対に許されません。80年前のヒロシマ・ナガサキでの原爆を体験した被爆者は強く抗議し、停戦を呼びかけます。これまで、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ(ガザ地区)、また、インドとパキスタンにおいても、核兵器による威嚇が行われ核兵器使用の危険が一段と高まっているところでした。

4~5月に国連でおこなわれたNPT再検討会議の第3回準備委員会では、核保有国は核抑止のための核兵器保有・共有を強調しました。核軍縮の義務を果たさず、新たな核兵器の増強をすすめています。

被爆80年をむかえますが、被爆者はこれまで自らの体験をとおして、人類の危機を救おうと誓い、「ふたたび被爆者をつくるな、核兵器なくせ」と世界に訴えてきました。原爆は閃光とともに二つの街を壊滅させ、無差別に大量殺傷しました。80年たった今もなお、被爆者のからだ、くらし、こころに被害を及ぼし続けています。原爆は人間として死ぬことも人間とて生きることも許しません。核兵器はもともと絶滅を目的にした狂気の兵器です。

世界に訴えます。ヒロシマ・ナガサキの悲劇をふたたび起こしてはなりません。そのためには、その悲劇を忘れてはなりません。被爆80年のいま思い起こさねばなりません。

核施設への攻撃をやめるとともに、一日も早い戦闘終結を強く訴えます。