アメリカのベッセント財務長官は来月上旬に期限を迎える相互関税の猶予期間について、関税交渉の状況次第では延長に応じる考えを示しました。

アメリカ ベッセント財務長官
「例えば、EUのように誠意を持って交渉している国や地域については、猶予期間を延長する可能性が高い」

トランプ関税をめぐる各国との交渉を率いるベッセント財務長官は11日、議会の公聴会でこのように発言しました。

トランプ政権は、4月に課した相互関税のうち、「上乗せ分」については90日間発動を猶予し、各国との交渉にあたっています。

来月9日に猶予期限を迎えますが、これまでに合意に至ったのはイギリスだけにとどまっています。

アメリカ トランプ大統領
「(Q.貿易交渉で猶予期間の延長に応じますか?)応じてもよいが、その必要はないと思う」

トランプ大統領は「日本や韓国など、およそ15か国と交渉を進めている」と話しましたが、具体的な合意のめどは示していません。

また、これに先立ち、トランプ大統領はアメリカと中国の閣僚が合意した貿易に関する枠組みについて、両首脳の承認が残されているとしながらも、「必要なレアアースは中国から提供されるだろう」とSNSに投稿しました。

ただ、中国によるレアアースの規制について、アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、輸出が許可される期間が「6か月間」に限定されていると報じました。

今後の交渉カードとして残しておく狙いが中国側にあるとしています。

林芳正 官房長官
「米国政府による一連の関税措置については、日米間で協議中でありまして、引き続き政府一丸となって、最優先かつ全力で取り組んでまいります」

一方、林官房長官は、トランプ政権が相互関税の猶予期間の延長に応じる考えを示していることについて、直接の言及は避けたうえで、「日米双方にとって利益となる合意を実現できるよう調整を続ける」と話しました。

ある日本政府関係者は「全ての関税措置の見直しは難しく、まずは猶予期間の延長を求めた上で、一定の合意を目指していくことになる」と話しています。