■弾道ミサイルの軌道

一言で日本上空と言いますが、ミサイルはどの程度の高さを飛んでいるのでしょうか。例えば、10月4日のJアラートの対象となったミサイルでは最高高度がおよそ1000キロでした。一般的に「領空」は高度100キロ程度までとされ、そこから先は宇宙空間となります。国際宇宙ステーションはおよそ400キロの高さにあり、ミサイルはそれよりもはるかに上を飛んでいるのです。

今回のミサイルは、飛行距離は750キロほどでしたが、「ロフテッド軌道」と呼ばれる高い高度で打ち上げられ、2000キロまで達しました。3月には6000キロを越える高さまで打ち上げられたこともあり、こうしたミサイルを通常の軌道で発射すると、ワシントンやニューヨークまで届くと見られています。

■ニュースで使われるEEZとは

ところで、ニュースではよく「日本のEEZの外に落ちた」と伝えられますが、このEEZ=排他的経済水域とは各国が沿岸から200海里、およそ370キロに設定することができる海域のことで、漁業や天然資源の採掘を独占的に行う権利があるとされます。ちなみに領海というのは沿岸から12海里、およそ22キロですから、それよりもはるかに広い海域です。

■前例のない北朝鮮の挑発

そして今回、朝鮮半島近くで注目されたのは「NLL=北方限界線」というラインです。国連軍が設定した海の境界線ですが、北朝鮮は、2日に初めてこのNLLを越えて韓国側のEEZ内にミサイルを撃ち込みました。韓国も北朝鮮側へ向けて戦闘機から3発のミサイルを撃ち返しています。さらに4日には、北朝鮮が軍用機およそ180機を次々に韓国側に接近させたのに対し、韓国が戦闘機などおよそ80機を緊急発進させるという事態も起きています。
7回目の核実験の実施や偶発的な衝突による戦争のリスクも懸念されています。

(「サンデーモーニング」2022年11月6日放送より)