「家庭教師のトライ」を運営する「トライグループ」が、教材に「水俣病は遺伝する」との誤った情報を記載して配信した問題で、国や熊本県などがトライグループに対し、文書で再発防止を要請しました。
この問題は、「家庭教師のトライ」を運営するトライグループが、水俣病について記載した中学生向けのオンライン教材で「水俣病が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです」などと誤った情報を配信していたものです。

水俣病は、チッソ水俣工場の排水に含まれたメチル水銀に汚染された魚介類を食べることで発症し、母親の胎内で水銀の被害を受けた胎児性水俣病の患者も確認されていますが、遺伝することはありません。
この問題を受けて、浅尾慶一郎(あさお けいいちろう)環境大臣が、トライグループ側に、誤って記載した経緯や背景について説明を求めたことを明らかにしていました。
トライグループは既に環境省に対し、「会社として深く反省し、関係者への謝罪などをしっかり行う」と報告し、制作スタッフへの教育やチェック担当者の増員などに取り組む意向を示していますが、国と、熊本、鹿児島、新潟の3県、さらに新潟市と熊本県水俣市はきのう(2日)連名で、トライグループに要請文を送りました。

要請文では、「誤った情報は学習者に誤解を与えるだけではなく、水俣病の被害に遭った人々や家族に対する偏見や差別を助長する可能性がある」として、誤情報があった教材で学んだ人たちへの対策や、具体的な再発防止策について報告を求めています。
問題の教材は2016年に配信が始まり、問題が発覚し5月に見られない設定にするまで、約7万回の再生があったということです。