東京電力福島第一原発の事故に伴う、福島県内の除染で出た土などの、いわゆる「除染土」について、政府が、総理官邸の敷地などで再利用を検討していることがわかりました。
原発事故に伴う除染で出た土などは、およそ1400万立方メートル、東京ドーム11杯分にのぼり、大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で保管されています。2045年までに県外で最終処分することが法律で定められていて、政府は、その量を減らすために放射性物質の濃度が一定の基準値を下回れば公共工事などに再利用する方針です。しかし、東京の「新宿御苑」などで計画された実証試験は、住民の反対などを受けて進んでいません。

関係者への取材で、政府が総理官邸の敷地や東京・霞が関の中央省庁の敷地での再利用を検討していることがわかりました。23日朝の会見で、林官房長官は…。
林官房長官「3月の予算委員会で、石破総理から官邸での再生利用をぜひ行いたいと、そういう旨の発言があったことも踏まえ、閣僚会議のもと、そうした取り組みも含めた案件創出の検討を政府が率先して進めて参りたいと考えている」

こうした政府の方針に、帰還困難区域の住民は…。
帰還困難区域の住民「みんなが協力してもらわなきゃという感じなのかな。国としても。誰も汚いものはいらないでしょ」
帰還困難区域の住民「みんなで電力のこと、考えてもらう。放射能のことを考えてもらう。国も勇気を持ってやってもらいたいと思う」
23日夕方、双葉町の伊澤史朗町長など帰還困難区域の町村長は、環境省の浅尾大臣を訪ね、帰還困難区域の復興再生に向けて要望しました。これに対し、浅尾大臣は「30年以内の県外最終処分は約束であるので、しっかり取り組んで参りたい」と話しました。
双葉町の伊澤史朗町長「まず、一国の総理が予算委員会の質問の中で答えたことにしっかりと取り組みをしたってことは評価できることだと思います」
政府は近く閣僚会議を開いて、基本方針を決定します。