全国的に担い手不足が指摘される防犯ボランティア。千葉県のある街では、夜のパトロールに現役の警察官が参加し、「防犯の輪」を広げようとしています。

夜の住宅街を歩く3人の男性。千葉県警・銚子署、生活安全課の奥田課長ら幹部たちです。

奥田課長
「この間、変な人が後ろにいたって」
男性
「ここのところ見かけないです」

週におよそ4回。勤務後に防犯パトロールのボランティアをしています。

この日、視線が捉えたのは、駅前でひとり佇む男性。

奥田課長
「何やっているんですか?」
男性
「こうすればインスタのフォロワー増えるんじゃないかと」

男性はSNSのQRコードを表示し、スマートフォンを掲げていたのだそう。

奥田課長
「みんなビックリしちゃうから」
男性
「始めてまだ2分くらいです」
嶋田課長
「変な人に巻き込まれないように」

積極的な声かけで「見せる防犯」を。

現職の警察官が防犯ボランティアに参加することには、もう一つ狙いがあるといいます。

銚子警察署 奥田雅彦 生安課長
「町内会で防犯パトロール隊の方はいますが、高齢化や後継者不足でちょっと難しいところで、防犯の輪が広がっていけばいいなと」

警察庁によりますと、防犯ボランティアの団体は2016年から9年連続で減少。銚子市も例外ではありません。銚子署は去年6月ごろから地元企業を訪ねて回り、参加を呼びかけてきました。

住民らに声をかけて回るのは、ベトナム人技能実習生たちです。地元で100年近い歴史がある水産加工会社で働き、去年夏から月に2回、仕事終わりで防犯パトロールに参加しているのです。

一方でこうした活動は、技能実習生たちにとっても地域とのコミュニケーションの場になっています。

田原缶詰株式会社 田原義久 社長
「地元の安全安心。同じ住民の中で、国籍を問わず、コミュニケーションができれば、治安も確保されていくと思っています」