旧統一教会の信者である両親から生まれた元2世信者の小川さゆりさん(仮)が10月27日、他の宗教団体の2世信者と共に会見を開き、宗教2世への虐待や権利侵害を救済するための法整備などを訴えました。

 両親も旧統一教会の信者で合同結婚式で出会い生まれた小川さゆりさん(仮名)は、特別な存在として“祝福2世”と呼ばれていました。しかし、その生活は…。

 (小川さゆりさん(仮名))
 「小学校のころ6年間ずっと登下校でいじめを受けていて、お金がない貧乏な子たちっていうのがわかっていたみたいで。(教団の教えで)堕落とか、そのサタンの世界に染まってしまうと地獄に落ちるっていうのはずっと怖かったので。親も喜んでくれるし、自分は今一番正しいことをしていて何も間違ったことをしていないから、すごく安心感があって依存していた感じもあります」

 アルバイトで貯めたお金すら両親に献金として使い込まれる生活でしたが、両親が好きだからこそ2世の生活に耐えてきたさゆりさん。しかし、母親に祖母の介護疲れなどから強く当たられるようになり、そのストレスからパニック障害になりました。そんな時、信者である父親から次のような言葉をかけられたといいます。

 (小川さゆりさん(仮名))
 「『試練を与えられるってことはすごいことだぞ。それだけお前は教会でも活躍していたし、神様が期待しているから』という話になって、本当に腹が立ちましたね」
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 19歳の時に死のうと考えて両親に宛てて書いた遺書には「愛し愛されたかった」とさゆりさんの思いの丈が綴られていました。

 時を同じくしてさゆりさんは旧統一教会を脱会。その後、結婚して、現在も信仰を続ける両親らと距離を置けるようにもなりました。
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 こうした2世の苦しみを広く知ってもらうため、10月7日にさゆりさんは外国人記者向けの会見を行いました。

 (小川さゆりさん(仮名) 10月7日)
 「『家族全員が信仰していないと皆が地獄に落ちる』と言われているため、信仰は脅迫を伴って強制されていることを知っていただきたいです」

 しかし、会見中に憎んでも憎み切れない両親の名前が入った“会見中止を求める文書”がFAXで届いたのです。

 (小川さゆりさんの夫 10月7日)
 「旧統一教会からメッセージが届きました。ここには彼女の両親の署名が入っています。『彼女は、彼女が言っているように精神に異常をきたしており、そのため、この会見をすぐに中止するように』というメッセージが届きました」

 (小川さゆりさん(仮名) 10月7日)
 「(心の)症状についてはもう4年前の時点で治っています。自分たちが正しいという自分たちの主張だけを続けている人たちと、自分(さゆりさん)と、どちらが悪なのか、これを見てくださっている多くの方はわかってくれていると私は信じています」

 旧統一教会はその後、文書に対する公式見解を発表。『ご本人の症状が悪化することを心配した親心からです』と書かれていました。
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 そして10月27日の正午過ぎ。さゆりさんは再び会見を開きました。

 (小川さゆりさん(仮名) 10月27日)
 「宗教2世の問題は旧統一教会だけではなく、多くのカルト宗教で類似の問題があります」

 さゆりさんをはじめ、他の宗教団体の2世信者も会見に参加。宗教2世への虐待や権利侵害を救済するための法整備を訴えました。
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 (宗教2世(20代) 10月27日)
 「数十年、実際に社会から見捨てられてきた、『宗教の問題には介入できない』と。今回のタイミングを逃してしまうとカルト宗教関連の被害者救済措置は今後100年は絶対に何の対応もされていかないんだろうなと思っております」

 さゆりさんは被害事例のアンケートの一部を読み上げました。

 (会見でアンケートを読み上げる小川さゆりさん(仮名) 10月27日)
 「最大で3日間の断食をさせられたということがありました。また(信者の親に)学費を使い込まれてしまって奨学金がなくなってしまいました」
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 他の宗教団体の2世信者である団作さん(仮名)は自らの体験を語りました。

 (他の宗教団体の2世信者 団作さん(仮名) 10月27日)
 「(団体では)鞭で子どもを打つことが推奨されていました。親のちょっとした機嫌を損ねてしまうと罰として電気コードで打たれました。子どもの意思を確認することもなく、物心つく前から当然のように宗教活動への強制参加を求められました」
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 さゆりさんは国に対して『迅速な問題解決を』と訴えます。

 (小川さゆりさん(仮名) 10月27日)
 「被害者を放置してきた見過ごしてきた国の問題であるので、しっかりとけじめをつけて、被害者の救済を超党派で進めていただきたい」