戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。ナチス・ドイツは、ユダヤ人らを大量虐殺する「ホロコースト」とともに、“理想的なドイツ人”を生み出す秘密計画を進めていました。その計画で生まれた女性の証言です。
ナチスが進めていた優生政策は「生命の泉」計画と呼ばれ、現在、オランダで写真展が開かれています。
記者
「こちらには、ナチスが望ましいとする体の特徴を測るための器具が置かれています。青い目に金髪の赤ちゃんを望ましいとしていました」
こちらは計画で生まれたとされる赤ちゃんの映像です。ナチスはドイツや占領した地域で「望ましい外見」の女性にドイツ兵の子を産ませ、施設で育てました。
こうした人たちは戦後、“ヒトラーの子ども”と呼ばれ、不遇な人生を余儀なくされました。
その一人、カーリ・ロースヴァルさん(80)。スウェーデンで養父母に育てられました。“自分は誰で、どこから来たのか”。就職を機に調べたところ、生みの母がノルウェーにいるとわかりました。
「生命の泉」計画で生まれた カーリ・ロースヴァルさん
「家のドアが開くと母・オーセが立っていて『入って、カーリ。あなたが誰かわかるわ』と言いました。なぜなら、私たちは鏡に映ったようにそっくりだったんです」
ナチスの占領下だったノルウェーで、母はドイツ兵との間にカーリさんを出産。カーリさんは、すぐにドイツの施設に送られました。
ようやく会えた母でしたが、過去を封印し、何も語ってくれませんでした。敵国だったドイツ兵の子を産んだことで激しい差別にあい、心に深い傷を負っていたのです。
カーリ・ロースヴァルさん
「(ナチスは)母の乳首を切りとったそうです。なぜ、そんなことをするのでしょう。母はとてもつらい人生を送りました。本当にかわいそうだったと思います」
カーリさんは、5年ほど前から学校で自らの体験を語っています。
カーリ・ロースヴァルさん
「金髪で青い目の女の子や男の子を産ませて、頭の形を測って、子どもにスタンプを押すのです。あなたは優良、あなたはダメだと。理解できますか?恐ろしいことです」
カーリさんが“出生の秘密”を知ったのは64歳の時で、そのつらさを乗り越えられたのは夫の支えがあったからだとも伝えました。
最後に、生徒たちにこんなメッセージを送ります。
カーリ・ロースヴァルさん
「今も世界中で戦争や苦しみがあふれていて心が痛みます。私たちは、なぜ学ばないのでしょうか。でも、皆さんは友好的であることが大切だと学びましたね」
生徒
「彼女が人生に前向きな姿勢であることにとても感銘を受けました」
「カーリさんたちが再び同じことが起こらないようにするために、どれほど苦しんだのかを理解することが重要だと思いました」
今も世界各地で起きる紛争。写真展を開いたバラカッシュさんは、今こそ知ってほしい事実だと話します。
写真家 アンガニート・バラカッシュさん
「(為政者が)生命の泉計画を認識し、『これは以前にも起きたことだ。危険だ。何か手立てを講じなければ』と警鐘を鳴らすきっかけになればと願っています」
戦争の悲劇を繰り返してはいけない。被害者たちが今を生きる人たちに呼びかけています。
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