先月(3月)、岡山市南区で発生した山林火災は、鎮火から4日目を迎えました。人的な被害はありませんでしたが、山では様々な植物が育ち、生き物が生息しています。生態系への影響について、専門家に話を聞きました。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「ここまで燃えるとは思っていなかったですけど、倒木とかそういうのが溜まっているから火が強くなっているんだろうなというのは想像してました」

植物調査で、過去に継続的に現場を訪れたことのある、重井薬用植物園の片岡博行園長です。ともに見て回った山肌は、黒く焼けこげ、火災の激しさを物語っています。

山林火災は、先月23日に岡山市南区で発生し、今月11日に鎮火となりました。焼損面積は約565ヘクタールで、記録が残る1965年以降、県内最大となっています。

影響があった山の中腹部を訪れてみると…。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「これはケネザサの笹の芽生えですけど、ここの部分については地表の落ち葉が燃えただけの状態で、地面の下にはほとんど影響がない。熱が伝わってないです。なので、まだ生きてて平気で芽生えてきていると」

その一方で、きょう、足を踏み入れることの出来なかった被害の大きかった場所について、岡山の昆虫の生態に詳しい専門家は…。
(岡山県野生動植物調査検討会昆虫部会 山地治部会長)
「元々そんなに植生が良いところじゃないので、生物層は薄かったと思うんですけどね。回復が遅れるでしょうね。山頂付近だと」

生態系が回復しなかった場合、私たちの生活にも影響が出てくる恐れがあります。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「根っこが石と岩を止めているような状況もあり得るので、木が枯れると、止めてる根っこが腐ってしまうと落石というものが起こりやすくなる」

生態系は時間をかけて元通りになるとはしていますが、共存について考えなければならないと話します。
(重井薬用植物園 片岡博行園長)
「ただただ元通りにするというのが必ずしも良いこととは限らない。どういう風に自然と付き合うかを考えなければいけない」
広範囲に燃え広がった今回の山林火災です。今後の復旧対策に向けて岡山県と岡山市、玉野市は今月17日から、合同で調査を行うということです。