アメリカと中国の間で関税をめぐる対立が激化するなか、中国の商務相は、EU=ヨーロッパ連合やマレーシアの通商担当相と相次いでオンライン会談を行いました。各国と連携してアメリカに対抗する狙いがあります。

中国の商務省によりますと、王文濤商務相は8日、EUの行政執行機関であるEU委員会で、通商・安全保障を担当するシェフチョビッチ欧州委員と8日にオンライン会談を行いました。

会談で、王商務相はトランプ政権の関税措置について改めて強く批判し、「(中国とEUが)共同でルールに基づく多国間の貿易体制を守ることで、世界経済に安定がもたらされる」と述べ、協力して経済秩序を守っていくべきだとする考えを示しました。

これに対し、シェフチョビッチ欧州委員は「EUは中国やほかのWTO加盟国と協力し、正常な国際貿易を守っていきたい」と応じたということです。

EU委員会は去年10月、中国から輸入されるEV=電気自動車に対する関税を10%から最大で35.3%に引き上げることを決定。中国側がこれに反発していましたが、双方はこの会談で、EVの価格をめぐる交渉を開始することで合意したということです。

中国としては、EUとの連携を深めることで、保護主義的な傾向を強めるアメリカに対抗する狙いがあります。

王商務相は9日には、今年、ASEAN=東南アジア諸国連合の議長国を務めるマレーシアのザフルル国際貿易・産業大臣ともオンライン会談を行いました。

会談で、王商務相は「中国はASEANを含む貿易パートナーと協力し、平等な対話と協議を通じて懸念事項を解決し、多国間の貿易体制を共に守っていきたい」として、ASEANとの貿易関係の重要性を強調。東南アジア各国との連携を深める狙いがあります。

アメリカの相互関税措置により米中間の対立が深まるなか、中国としては、ヨーロッパや東南アジアなど周辺国との連携を深める動きを活発化させることで、アメリカに対抗する枠組みを作ろうとしています。