重大少年事件の記録を家庭裁判所が廃棄していた問題が全国であきらかとなる中、長崎県内でも2つの殺害事件の記録が廃棄されていたことが分かりました。


廃棄されていたのは2003年、長崎市で当時中学1年の少年が4歳の男の子を誘拐し、ビルから突き落として殺害した事件と2004年に佐世保市の小学校で小学6年の女子児童が同級生を殺害した2つの事件記録です。


長崎家庭裁判所によりますと、2つの事件記録が廃棄されたのは2018年3月から19年2月にかけてで、少年審判の処分決定書や供述調書、精神鑑定書などだということです。


事件記録の保管期限について裁判所では「史料的価値が高いもの」は永久保存することになっていますがそれ以外は「少年が26歳に達するまで」とされています。

裁判資料の記録管理にくわしい龍谷大学の福島名誉教授は、廃棄した時点の少年らの年齢に注目しています。


龍谷大学 名誉教授 福島至 弁護士:
「年齢が26歳になったならば基本的に廃棄するという扱いになってたと思うんですが、そこだけに注目して機械的に処理していたのではないか」

福島名誉教授は、裁判資料は公文書であり、今後事件を検証するうえでは将来に残すべきものだったと指摘します。


龍谷大学 名誉教授 福島至 弁護士:
「非常に大きな事件で当時社会を震撼させるような事件だったわけです。廃棄されたことによって検証する手段がほとんど奪われてしまったと言うのは非常に残念」


今回のケースについて長崎家庭裁判所は「資料が廃棄された経緯や特別保存になっていたかどうかは現在、調査中」としています。