愛媛県今治市の山林火災は、発生から5日目です。火の勢いは弱まっていて、現在は延焼も食い止められていると見られます。27日夜からはまとまった雨が予想されていて、住民が消火活動の行方を見守っています。
24時間態勢で消火活動が行われている山林火災。26日夜は山からの炎は確認されず、警戒にあたっている消防車のランプのみが街を照らしていました。
JNN取材団 黒川莉緒記者(27日午前7時半ごろ)
「今治市朝倉地区です。ここから見る限り火の手は確認できませんが、数か所で煙が上がっており、自衛隊のヘリなどによる消火活動が続けられています」
愛媛県によりますと、焼損面積は午後2時半の時点でおよそ442ヘクタールに拡大。また、飛び火などの影響で、住宅や倉庫などあわせて21棟が焼けたということです。現在も今治市と西条市のあわせて3848世帯、7494人に避難指示が出ています。
また、避難所の1つ、岡山理科大学今治キャンパスでは、動物のための部屋も用意されています。国のガイドラインではペットと一緒に避難することが求められていて、ネコを連れた人の姿がありました。
ネコと避難した人
「2日間、車の中で過ごしていたんですけど、きょうはここで多分ゆっくり寝れると思うので。家族なので」
朝倉公民館の避難所には、26日には39人が避難していましたが、火が弱まる中、27日朝は全員が一時帰宅していました。
鎮圧までに時間を要する中、27日は“恵みの雨”に期待がかかりました。
JNN取材団 安達誠記者(27日午前8時ごろ)
「今治市内、パラパラと雨が降ってきました。車のフロントガラスに雨粒が当たっているのがわかります」
今治市内では雨がぱらつく時間も。
住民
「もう少しまとまった雨が降ってほしい」
「期待している、1日でも早く鎮火してほしい」
27日夜からは山林火災の発生以降、初めてとなる本格的な雨が予想されています。
長引く山林火災で日常生活にも影響が出ています。避難指示が続く中、桜井郵便局は臨時休業に。
一方で、営業を再開した場所もあります。山林火災の発生当初、建物のすぐ側まで火の手が迫っていた道の駅今治湯ノ浦温泉。27日から、再びレストランの営業を始めました。
客
「めっちゃおいしいですよ。こちらからしたらありがたいなと思いますよね」
中には避難を続けている従業員も。
道の駅従業員 有田翼さん
「消防の方とか自衛隊の方もそうですけど、ちょっとでもご飯食べられて力になるんやったらと思いまして、僕も出ないかんなと」
交通事情も元通りになりつつあります。
JNN取材団 鈴木滉正記者
「山林火災の影響で通行止めだった国道も、現在は通行できるようになっています」
通行止めとなっていた国道196号は、26日午後3時に通行止めが解除され、27日朝は車の渋滞は見られませんでした。また、今治小松自動車道の東予丹原ICから今治湯ノ浦ICの間も、上下線ともに26日夕方に通行止めが解除されています。一方、鉄道では、避難指示区域内にあるJR伊予桜井駅は乗り降りができなくなっています。
平成以降、愛媛県内では最悪の規模となった今回の山林火災。専門家は「樹冠火(じゅかんか)」という現象の可能性を指摘します。

これまで日本の山林火災は地表近くで落ち葉などが燃える地表火(ちひょうか)がほとんどでした。

しかし今回は、極端な乾燥や強風などの条件が揃ったことで、地表の火が木の枝全体に燃え移る樹冠火が起きた可能性が高いということです。
日本大学 串田圭司教授
「樹冠火は飛び火を引き起こす。地表火よりも燃え広がる速さが早い。樹冠火によって激しく広い範囲が燃えたということになりますね」
実際に今回、山から離れた住宅からも火があがっていて、飛び火で燃え移ったことがうかがえます。
27日も愛媛県内外の消防隊員らのべ4400人余りによる消火活動が行われています。
そして今治市では、27日午後6時ごろからようやく本格的な雨が降り始めました。この後、今治市では山林火災が発生して以降、初めてとなるまとまった雨が予想されていて、鎮圧につながることが期待されます。