長崎港で27日昼過ぎ、最大でおよそ110センチの「海面の急な上下=あびき」が発生しました。春先の長崎港でしばしば見られるこの現象。今回は周期約25分で繰り返し発生し、気象台は海岸付近や船舶への注意を呼びかけています。

長崎地方気象台の発表によりますと、観測された副振動(あびき)による潮位変化は以下のとおりです。

【副振動に関する長崎県潮位情報】
▶発生日時:27日13時45分頃
▶最大値:約100センチ
▶周期:約25分

今後も、顕著な海面昇降や強い流れが繰り返し発生する恐れがあります。

あびきとは?

「あびき」とは、海面が短時間のうちに上下する現象です。天文潮位の「主振動」に対して「副振動(あびき)」と呼ばれます。

高潮や津波とは異なり、低気圧や前線の通過による気圧の急変が原因で発生します。

春先の長崎港で多く発生する「あびき」は、東シナ海の大陸棚を前線や低気圧が通過することで、気圧が急激な変化し引き起こされると考えられています。

気圧の変化で発生した波が海底の地形などの影響を受けて増幅し、さらに長崎湾内で波が共鳴して増幅すると、湾の奥では1メートルを超す上下振動になることがあります。

長崎の「あびき」は、過去には係留していた船を流したり、道路を冠水させる被害をもたらしました。

気象台の統計によると、あびきの発生が多くなるのは2月から3月(3月は全体の約半数)となっており注意が必要です。

ちなみに「あびき」の語源は、速い流れのため魚網が流される「網引き」に由来するといわれています。