今治市の山林火災は発生から4日目、今なお鎮圧のめどは立たず焼損面積も400ヘクタールを超えました(画像で現在の状況を掲載しています)。

また、市民生活のさまざまな場面にも影響が広がっていますが、未だ鎮圧の見通しが立っていません。

(荒木優汰リポーター)
「(25日)午後9時過ぎの笠松山のふもとです。延焼が続いていて、消防による消火活動が続けられています」

発生から4日目。地上からの消火活動は24時間態勢で行われています。

焼損面積は午後2時の時点で417ヘクタールに拡大し、今治市と西条市あわせて3848世帯、7494人に避難指示が出ています。

飛び火とみられる建物の火災も確認されていて、これまでに住宅と倉庫合わせて9棟が全焼。生まれ育った我が家を失った人も…。

(桜井地区に住む越智通仁さん(55))
「あらためて見るとつらいですね」

被害拡大を受け、越智さんは高齢の母親と共に25日から避難所に身を寄せていますが、まだ自宅が全焼したことを伝えられないといいます。

(桜井地区に住む越智通仁さん(55))
「きょうの朝とかも、あそこの避難所でカップラーメンもらえたので『家帰ってお湯沸かすところあるんやろか』とか『家に帰って、トイレはできるんやろか』とか」
「本人の中では、ここまでというのは、たぶんまだ分かっていないとは思うんですよ。きのうのきょうで、この状況を見せるのは、ちょっとつらいかな…」

影響はライフラインにも今治市と西条市を結ぶ国道196号は午後3時まで27時間にわたり通行止め。

今治小松自動道では、一部区間で通行止めが続いています。JR予讃線も…。

(安達誠リポーター)
「昨日建物火災があった現場です。骨組みがむき出しになっている状態になっていますそして、火の手は線路付近のこのあたりまで上がりました。黒く焼き焦げた状態になっています」

伊予桜井駅からほど近いこの一帯にも火の手が…。JR予讃線は、26日の昼前から運転が再開されましたが、避難指示区域内に当たる伊予桜井駅の利用は当面できないということです。

交通インフラの滞りは、経済活動にも影を落とし始めています。

今治市内で建設業を営む男性は、山林火災の影響で、資材などを保管する倉庫に行けないと困惑しています。

(檜垣総業・檜垣博之代表)
「状況を見て鎮火するまで待たなければならないだろう。倉庫が燃えていないか、トラックが燃えていないか心配」

地元の農産物などを取り扱うこちらの販売所では、商品の入荷量が落ち込んでいます。

(JAおちいまばり・田中拓也課長)
「通行止めの区間が日に日に変化している状況で、(農家が)ここまで来るのに時間がかかったり、来られないという人もいる」

また、買い物客も、通常の8割程度だったということです。

鎮圧の見通しが立たない中、砂防学に詳しい専門家は、瀬戸内周辺の植物には燃えやすい特徴があると話します。

広島大学 防災減災研究センター 海堀正博特任教授
「林床にシダ類が覆っているような場所がたくさんあります。シダ類が今の時期枯れかけているぐらいカラカラになっているのですごく燃えやすいんですね。だから今の時期に山火事になると、地表の燃えやすいものがサーっと広がっていく傾向があるんです」

燃えやすいシダ類が密集していることで、焼損範囲が広がっているのではないかと分析します。

広島大学 海堀正博特任教授
「簡単に火の粉が飛ぶような状態になる。全域が乾燥した条件があったわけですから、燃えやすいものが広がっているところに火の粉が落ちるとそこも火が付く。そういう環境が瀬戸内周辺はあるんじゃないかと思います」

一方、ここ数日の今治の天気について、気象予報士の竹之熊和也さんは…。

竹之熊和也気象予報士
「今、日本の南に高気圧があるんですけど、週末からほとんど位置を変えていないんです。そのため、そこから吹き出す西風が続いている状況。今治では最大瞬間風速が10メートルを超えていて、連日強い西風が観測されているんです。最少湿度も20%台の日が多く、土曜(22日)から乾燥注意報も続いているということで、空気の乾いた状態になっています」

火災の発生から4日目。県によりますと、26日も愛媛県内外の消防2800人余りと、自衛隊と自治体のヘリコプター10機が陸と空から活動しましたが鎮圧のメドは立っておらず今もなお一進一退の状況が続いています。