高知県内ではこの春4つの小学校がその歴史に幕を下ろします。そのうち土佐清水市の下川口小学校では最後の卒業式と修了式、そして休校記念式が行われました。地元住民や県外にいる卒業生たちも学校に集い、思い出が詰まった学び舎に別れを告げました。

土佐清水市の西の端、下川口地区の下川口小学校は明治9年に開校しました。児童の数は最も多い時で270人を越えていたといいます。2001年には西南豪雨で被災し、校舎にはその爪痕も残されています。

2024年度の児童は2年から6年までの9人。学校は近くの三崎小学校に統合され、卒業する3人は清水中学校に進学します。22日、最後の卒業式と同時にいまの学年の修了式も行われました。児童たちは去年の春、始業式の時に休校について知らされ下川口小学校での最後の1年を全力で駆け抜けてきました。卒業式にはサプライズ演出も。
2024年9月、プロのダンスユニットと共演し、地元ホールでダンス公演を成功させた子どもたち。そのダンスユニット「赤丸急上昇」の2人が登場しダンスとパフォーマンスで子どもたちの門出を祝いました。厳かに進んでいた式典の空気は一変、まさかの再開に子どもたちの笑顔が弾けました。

翌日の休校記念式典には住民や多くの卒業生がかけつけました。

(卒業生)
「縄跳びしたりかくれんぼしたりね、あの時分にはクラスにようけおったもんね」「(1クラスに)45、6人いたんじゃないかしら」
「東京にいます」
「東京、東京」
「四万十」
「清水」

「最後に校舎に入れるうちに見ておきたいという感じで」
「なんか探検ごっこしたんですよ、虫捕まえてみたいな。めちゃくちゃ懐かしいです。うれしいな、帰って来られてよかったなと思います」
「人数が多くなるけんあんまり関わりがなくなる、地域の方々と。やけんこそ身の回りの人を大事に育っていってほしいな」

(ディレクター)
「みなさん卒業生?えーそうなんですね」

(ディレクター)
「あっ、すいません動画です(笑)」
(県外から集まった同級生)
「ここは門がないから遅くまで遊べるわけ、学校に入って。だからまぁ暗闇でも遊んでたという…真っ暗でも遊んでたという」
(ディレクター)
「真っ暗で何して遊ぶんですか」

(県外から集まった同級生)
「プール、金網上って…こっそり泳ぐしぶきがあがらんように…(笑)」
(ディレクター)
「いい思い出ですね」
(県外から集まった同級生)
「子どもの声が聞こえなくなったらさみしいよね。やっぱり競争心がないとだめだなって、今の時代。数人で走っても…」
(ディレクター)
「だから大規模校に行くのはいいんじゃないかと?」
「良いと思う。ここで少人数はちょっと…さみしいけど」
永野校長はこの下川口小学校が、初めての校長としての赴任でした。休校に向けて学校の歴史をまとめる中、学校との運命的な縁を見つけたといいます。

(永野美華子 校長)
「私の祖父母がここの出身だったんです。知ってたのに下川口小学校の卒業生ということには思いがいってなくって。百年誌を見て(祖父母の)名前がある!と思ってびっくりしました。私がここに来た意味がちょっとあったかもしれんと…涙がでました」

「なんでも一生懸命やる子どもたちだったのでできた今日の休校式かなと思っています。本当にありがとうという言葉しかないです」
(清水中進学 濱田結芽さん)
「さみしいけれど、やっぱり最後、わーっと良い終わり方をしたいと思ってやりました。みんな、歌の時は手拍子もしてくれたし、楽しんでくれていたし、下川口小学校のことを想って聞いてくれていたかな…」

(清水中進学 内原瑠泉さん)
「さみしい思いもありながら楽しく終わらそうかなと。一番は行事の中で運動会。赤丸さんたちとの交流とか、他の小学校との交流もこの6年間印象に残りました。部活や勉強、友達づくりを(がんばる)」

(清水中進学 川村かんなさん)
「終わってほしくないなぁって。楽しいっていうか悲しいほうが大きかったです。最後やけん締めくくりをよくせないかんなぁと思って。(Q.新しい学校で楽しみなことは?)授業が少し変わるのが楽しみです。算数が数学に変わって(答えが)マイナスになる計算とかあるので。(Q.勉強が難しくなるけど不安じゃない?)はい、楽しみです」

(この春6年生 竹葉響さん)
「地域の人が毎回行事に来てくれたり、地域のイベントでは私たちが参加したらお礼を言ってくれたり、あいさつをすごくしてくれるところ。楽しみなことはみんなで授業をしたり、遊んだりすることで、不安なことは友達とうまく話したり、掃除も知らない人と一緒にするようになるのでそれが不安です」

(この春5年生 溝渕成さん)
「まぁそんなに緊張感はなかったのでいつも通り、結構がんばって、最後いい感じにしていこうっていう気持ちでした。(楽しみは)友達ができること、学級1人だったので。(Q.不安とかは?)ない。みんな仲良し、たまにケンカするけどすぐ謝れるし」

148年の歴史を紡いできた下川口小学校。最後の1年を過ごした9人の子どもたちは、この春、希望を胸に新たな学校生活を迎えます。
