オウム真理教は「地下鉄サリン事件」の直前、男性を拉致して死亡させる事件を起こしています。事件を起こした教団の元幹部は、遺族に何通もの手紙を送っていました。
「どこに行こうとも供養の気持ちを忘れることなく、胸に刻み続けることをお約束いたします」
ボールペンを使い、特徴的な字が並ぶこの手紙は、オウム真理教の元幹部によるものです。
地下鉄サリン事件が起きる直前の1995年2月、「目黒公証役場」の事務長・仮谷清志さん(当時68)が教団の信者に連れ去られ、監禁された教団施設で死亡しました。
手紙を受け取ったのは、仮谷さんの長男・実さん(65)。手紙の主は、この事件に関与し、16年以上の逃亡生活を経て出頭した平田信元幹部です。
平田元幹部の手紙
「申し訳ありませんでした」
平田元幹部が出した30通近くの手紙には、謝罪の言葉が並びます。仮谷さんの命日である3月1日にも…
平田元幹部の手紙
「この日はコーヒーを供養させて頂きました。今年は私なりに何か形のある行為をしたかったのです」
仮谷実さん
「父の命日を覚えていたということと、父が好きなコーヒーというのを彼は覚えている。これはちょっと本気かなと」
謝罪が「本気だ」と感じた実さんは判決が出る前、「ある約束」を交わします。
仮谷実さん
「出所後、半年すぎてから毎月5万円ずつ(払う)という約束。少なくとも10年間は毎月、父にわびるという場面がセッティングされるはずだと」
出所後に10年間、毎月5万円を支払うという約束。しかし、その後に出た判決は予想よりも長い懲役9年でした。
仮谷実さん
「9年刑務所に拘束されちゃったというのがあると。ただ、その間も謝罪の気持ちを持っている。お金の問題じゃない、気持ちの問題だと」
服役中も謝罪し続けた平田元幹部。その出所後、実さんは約束を結び直します。2年間だけ毎月1万円を支払うことで全てを終わらせることにしたのです。
そして、先月…
仮谷実さん
「最後の2月1日。しっかり毎月(支払われた)」
最後の支払いが終わりました。
仮谷実さん
「約束した24回が終わったということは、謝罪をずっと続けてきたことに相違ないなと」
約束を果たした平田元幹部。実さんは今後関わることはないとした上で、「それでも許すことはできない」と話します。
仮谷実さん
「約束を守ったとしても、彼は父の死に関わった人間なんです。父が戻ってくるわけじゃないから、彼に限らず、父の死に関わった全員は許すことができない」
事件の爪痕は今も深く刻まれたままです。
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