子どもへの性加害問題について、小学生のころに性犯罪の被害者となった女性が、RBCの取材に対し過去の辛い体験を話してくれました。被害の実態とその後の人生への影響は深刻なものでした。
金子深雪さん
「うさぎ小屋の前でしゃがみこんで(妹と)2人で餌をあげていました」
「後ろに人の気配がありまして、学校の当直の先生かなと気に留めていなかったのですが、その人が私の身体を触り始めて」

当時小学2年生だった金子深雪さんです。見知らぬ男性から被害を受けたのは、通っていた県外の小学校の敷地内。さらに、小学校6年生の時に別の被害に遭いました。

金子さん
「ある日突然、後ろから抱き着かれて胸を掴まれまして『大きくなったな』(と言われた)」
放課後の教室での出来事。相手は当時50代の男性教諭、担任の先生でした。
金子さん
「すごく嫌な感じはあったんですけど、『大きくなったな』という言葉にしても、自分に対して我が子のような成長をみているのか、そういった意識だったのか、分からなくて非常に混乱しました」

おととしの刑法改正で、強制・準強制性交等罪が不同意性交等の罪に、強制・準強制わいせつ罪が不同意わいせつの罪に統合されました。
おととしまでの5年間で沖縄県内で認知された性犯罪事件のうち、被害者全体に占める19歳以下の割合はいずれもおととしがワーストとなりました。

性犯罪の被害者支援に詳しい山田照子さんは、明るみに出ている性被害は氷山の一角であると指摘します。
山田照子さん
「性犯罪被害に過去に遭っているのに、いまだ事件化されていないとか、本人の中で留めているだけで被害に遭っている子がいることは実感する」

金子さんも、被害についての記憶を胸の奥にしまっていました。
金子さん
「なんだか嫌な思い出として記憶の底にあったんですけど、これがいわゆるグルーミングの上の性被害だと気が付いたのは、4年ほど前」
児童に対しわいせつな行為をするために信頼関係を築く「グルーミング」。幼少期の犯罪被害は、その後の人生に影を落としました。

金子さん
「被害を受けたことによって世の中とか人が信頼できない」
性犯罪の被害者を支援する山田照子さん
「性加害する人にとっては、一瞬のための性的欲求を満たすための行為かもしれないけど、被害者にとっては一生消えない、重いものを持たされている」
性犯罪は子どもたちの心と身体をむしばみ、その後、生涯に渡って消えることのない傷跡を残します。
加害者の一時的な欲求を解消するために被害者となった子どもたちは、一生その傷と向き合い続けています。
【記者MEMO】
元県警職員の山田さんは幼い被害者を生まないため、学校などで講演して注意点を教えています。

・住宅街の静かな場所で狙われやすい
・スーパーやコンビニのトイレなどの死角が危ない
・友達と一緒の時でも油断しない
・公園など大人の目が少ない
・人目につかないところが危険
特に気を付けるべき場所を覚えておくことで、子どもたちを犯罪から遠ざけ性被害を防いでいきたいと話していました。