史上最悪のテロ「地下鉄サリン」 強制捜査2日前に起きた理由

記者
「ちょうどこの辺りです。車から出てきた数人の男に無理矢理押し込められるような形で仮谷さんは拉致されました」

拉致現場は、JR目黒駅から東に200メートルほど離れたオフィス街。仮谷さんは仕事を終えて、公証役場から出てまもなく拉致されました。

佐久間さんのノートには…

元大崎署刑事課長 佐久間正法さん
「私自身がオウムの認識が薄かったので、カタカナで『オーム』、 真理教の真も『心』と書いている」

目撃証言などから、仮谷さんは自身の妹の行方を捜していたオウムの信者に連れ去られたとみられていました。

事件が大きく動いたきっかけは、指紋捜査でした。これは私たちが入手した当時の捜査資料です。

容疑者が拉致に使ったレンタカーを借りた際の書類から、わずかな指紋が採取されたのです。

元大崎署刑事課長 佐久間正法さん
「署で取ってくれた(容疑者の)指紋。左手の環指(薬指)っていうんですけど、これが一致した」

この指紋を照合したところ、オウムの信者のものと一致したのです。そして警視庁は、仮谷さんの逮捕監禁容疑で教団関連施設への強制捜査の日付を3月22日に決定。しかし…

元大崎署刑事課長 佐久間正法さん
「情報がなぜかオウムに漏れて。警察の中にもオウムの信者がいたという情報もあったので。自衛隊でもガスマスクの訓練もやっていたので、いずれかから漏れたんだろう」

強制捜査の日付がオウム側に漏れ、2日前の3月20日に「地下鉄サリン事件」が起きたのです。

記者
「何人でしょうか。100人以上、かなり多くの数の捜査員が中へ入りました」

それでも教団関連施設への強制捜査は予定通り、3月22日に行われました。

元大崎署刑事課長 佐久間正法さん
「(サリン事件の)色んな捜査で手一杯だったんですが、そんな中で果たして大捜索ができるかと心配していた。この大変な時に『やるぞ』と決めた(警視庁の)士気の高さは凄いなと」

この強制捜査がきっかけで、オウムの主要な幹部が次々と逮捕されました。