2022年に北海道知床半島沖で観光船「KAZU1」が沈没し、乗客乗員あわせて20人が死亡、6人が不明となった事故で、乗客家族らが運航会社とその社長に損害賠償計約15億円を求めた裁判が、13日札幌地裁で始まりました。

札幌地裁の元裁判官の内田健太弁護士に裁判のポイントを聞きます。

桂田精一社長(13日)

◆民事初弁論に桂田被告が出廷した狙いは?
内田健太弁護士
民事の場合は、当事者が出廷すること義務ではないので、社長本人の誠実に対応しているという姿勢を見せたいという本人の希望があったのではないか。

◆争点をめぐる原告と被告の主張
堀内大輝キャスター
一番の争点は『出航判断の是非』です。「知床遊覧船」の”運航基準”では風速8m、波の高さ1m以上で運航中止と定めていました。一方、当時の予報では風速15m、波の高さは2mなどと基準を超えていました。

《原告側の主張》
・そもそも知床遊覧船は、運航会社として乗客に対しての賠償責任がある
・桂田社長については「出航を中止すべき状況が明らかだった」にもかかわらず出航中止を指示しなかった
⇒個人としても『重大な過失がある』と主張

《被告側の主張》
・会社としては、賠償義務は争わないものの、金額が増えることについては「理由がない」として争う姿勢
・桂田社長については、天候が悪化したら引き返すという”条件付き運航”の判断に過失はなく、天候が悪化した際に船長が引き返していれば事故は回避可能だったなどとして、社長個人に『責任は無い』と主張